ミステリー大好きな私としては、軽く楽しめる作品かと思って読み始めたところ、全然違いました!!

しかし、途中でやめるわけにはいかない。
なぜなら内容は至って真面目に、
娘を殺された夫婦を主人公として、犯人の裁判、そして死刑判決後離婚、その後の人生をベースとして、様々なケースの殺人事件とそれに関わる人達の苦悩と、正しい償いとは何かについて書かれているからです。
「虚ろな十字架」これは、殺人を犯した犯人の背負う十字架についての例えとして本作品の中で使われている表現になります。
そして、更なる殺人事件が起こるのですが、また複雑なものです。ひとつの過ちを隠すために、犯人を、庇うために行われる殺人です。
十字架の重さをどう捉えるのか、『罪の償い』とは何を持って、償ったとするのか、誰が被害者で誰が被害者遺族なのか、、、。遺族の気持ちが癒えることで、終止符をうつことができるのか。
命の重さを強く感じる作品です。
ひとつ目の殺人事件の時、死刑制度について確固たる揺るぎない思いを持つ被害者家族であり、愛する娘さんを失ったお母さん。
その揺るぎない?(本当は揺らいでいますが、ここではその点は目をそらしていたようなので省きます)信念故に、様々な過去の事件に首を突っ込んでしまい、自首を勧めます。
実刑が、犯人たちの真の意味での償いになるのか、ならないのか、、、。
今回の作品の中では、問題となっているのは死刑制度の有無についてだけでなく、
また、殺人罪に対する刑期の長さが長い短いというよりも、その服役中にどのように、反省や更生するのかが、曖昧な点。しっかりと反省し改心し社会に出せるのか再販の危険がないのかの、【判断基準の甘さ】やいい加減さということに注目しています。
たとえば、「刑務所が単にいっぱいになったから、問題がない態度で過ごしている犯人を、仮釈放してよいのか」と言った表現で書かれています。
弁護士や、犯人や、被害者家族といった個人個人の経験による考え方について触れているだけでなく、社会の仕組みにまで問題提起をしている作品であります。
何が「正解」なのか、人間が人間の罪を裁くことの難しさ、が書かれていると思います。
死を持って償う、刑期の長さによって償う、という方法のみで、簡単には片付けられない問題だということ。
犯人に反省してもらうことや罪の重さを理解してもらうこと、そして再犯を防ぐ方法について、考える必要があるのではないでしょうか。
人括りに出来ない様々な殺人。恐ろしいが、目をそらすのではなく、しっかりと見つめている作品です。
答えは出なくとも考えることに意味はある、そう思います。
とても苦しくなる本でもありますが是非一度考えてみることが必要かもしれない、そう思います。