2日くらいでさくっと読めたので、内容は全体として若々しく青春期らしさが溢れていて、何より主人公の母親のさっぱりとした?性格は、意外で良かったです。かなり賛否両論、好き嫌いの分かれる作品です。後味が何より良くないですし。
ネタバレですが、自殺したはずの母親が、生きていたという信じがたい内容で、
そのことで主人公は母と対面してアイデンティティーの揺らぎをなんとかしたいという思いに突き動かされていたのかなぁ?と全体として一貫した想いを感じました。
様々な個性的なキャラクターが登場し、それぞれに何らかの人生においての大小様々な躓き(それは他人には些細なよくある事で、本人にとっては大打撃であったりして)に決着をつけるべく、もがく、と言った感じだったんですが、、、そういった部分の共通の臭いがする、ストーリーで
しかし、主人公の少年においては、何故かあまり芯が強くないと言うか、人生の目的を持っていないような普通っぽい目立たないタイプの子に感じました。
何事にもさらっとしてして、感情的になることも少ないし、人の言葉を簡単に引用し、分かったようなつもりになる、自己の経験でなく他人の経験から学ぶタイプというか、生意気なガキ、そんな印象。
そして母親の疾走?もしくは自殺?という謎に関しても、父親にあえて深く突っ込んで聞いたことも無かったというのは
「親といえど他人」とか「僕は僕で幸せになる」とか、
そういったハッキリとした理由あってのことではなく、むしろいつだってお母さんの思い出を心の中で求めていた、でも、あえて聞こうとは思わなかったんですね。お父さんが無口な人だったというのもあったそうです。
友人からも「お前ってつまんないやつ」的なことを言われて、まぁ図星だったようでとても傷ついていたシーンが印象的でした。
さらに最後の方のシーンでは、激しく
いとこであり恋人である風俗嬢の彼女と、きっちりと決着をつけるべく?、向き合うことを決意するというシーンがあり、普段と違う熱い部分を、出すんですよね。しかしこれがまた、逆の結果を導くという最悪の展開でした。
実はお母さんも、他人を失踪計画に利用する際、熱くなるタイプか、割り切れるタイプかで選んでいました。
前者では責任を感じて自分を責めてしまうから困る。後者のタイプだから協力を頼んだ、と。
と言っているシーンがありました。
もしかすると少年の父親が指摘していたように「お前は、逃げたりズルしたりできない不器用なタイプの人間が好きだろ」というような、そういったセリフがあり、そこで主人公の少年は心が突然、核心を突かれ、揺さぶられるのですが
まぁ、彼の好きな人といえば、物語の最初から最後までずっとお母さんなんですね。これはもう紛れもなく。絶対的な存在で。
けれど、もう一人、途中からいとこの彼女の存在が、大切な人として感じられて行きます。
二人とも方法はきっと正しくない、色々な人を傷つけて、自分をも傷つけて生きてきたでしょうが、なのでやはり私は、共感したくないんですよね。傷ついて逃げたい気持ちはとても理解できます。けど、選んだ方法は、納得したくないんです。子供を捨てるとか、家族を騙すとか、自分を汚すとか。
少年の、冷めてる(ように見える)ところが、いとこの彼女を最初、安心させていたんじゃないかなぁと思ったりしました。割りきった関係でいられると言った点で。
いとこの少女は、失恋をきっかけに現実感が遠のき、自分を貶めたくなった、売春を始め、道徳と闘うという謎の行動に走るのですが、
この子は自分を貶め続けることで、もしかしたら本当に愛されることが怖かったんじゃないかなぁ。幸せになることが怖かったんじゃないかな。
本当に愛されるってことは、それを失う怖さと切り離せないから。そこに飛び込むのは勇気がいる、ような気がします。
最終的に、熱き主人公の行動に戸惑い、自ら命を断ってしまういとこ。
という展開で長い物語は突然、幕を下ろすのです。
本当の強さとは何なんでしょうか。
世の中と闘うことでしょうか。
人生の意味を知ることでしょうか。
それとも全てを解読すること?
私は最後の、いとこの死の報告の場面で、思わずポロッと左目から涙が落ちました。
けど、それは気持ちのいい涙ではなかったように思います。
とても悔しいような、気持ちになりました。
様々な生き方があって良いと思います。
人生の捉え方もまた自由です。
価値観もそれぞれです。
ただもっと、他にすることはなかったのかなと、思えてならない。なぜ一つのことに固執し続けたのか?そして自分を追い込んだのか。
世の中には楽しいことが溢れています。ただ素直にそれに身を委ねても良かったのに。逃げだの闘うだの。その二者択一になってることが、怖かった。無数の選択肢に目を向けて欲しかった。
そして、問題の人、主人公の母親。もうひとりの主人公と言っていいかもしれない。
彼女は海外で仕事に成功して、居ました。別人としての人生を歩いて幸せを掴んだ、そう書いてありました。
それもまたひとつの人生。かもしれない。
幸せなら、いいじゃないかと。
でもそれは少年がすでに高校生であと一歩で大人といった所まで来て着るから言えることだろう。
私はやっぱり、子供を見捨てて自分だけ幸せになろうと考える母親が、信じられなかった。
愛する勇気、愛される勇気。
私は、それが本当の強さだと思いたい。
海外へ行く飛行機の中、母親に再開を果たすため胸を高鳴らせていた少年。
子どもとは、どんな母親でも愛しているんだ、いつまでも。
とても悲しい物語でした。
おわり