詳細はリンク先でどうぞ。

 

 

■低い印税率の問題

 

そもそもの問題として

 「なぜ印税率は10%しかないのか」

という問題がある。

※但し欧米でも印税率は10%程度で日本だけではない。

 

佐藤秀峰先生はこれに疑問を感じ、

印税率を15%にあげさせた例がある。

 

新條まゆ先生は

 

 電子書籍では関わる人が減るのだから

 印税率をもっと上げて欲しい

 

と訴えている。

(現状は15%程度であるらしい)

 

…ただ出版社を擁護する訳ではないのだが、

電子書籍には電子化に伴うスキャン作業や、

Webサイトのメンテナンス・運営費、サーバーのレンタル費用など、

紙媒体ではなかった費用もかかっており、

それに伴って関わる専門職の人が増えている実情がある。

 

しかし、それらを踏まえても、

 

 Amazonが作家に印税率70%を謳っている以上、

 日本の電子書籍の印税率15%~20%は低すぎる

 

と言われても仕方のない話である。

 

そしてAmazonでは無料公開の本でも

Unlimited(アマプラ会員料金とは別に月額支払い)であれば

1ページ0.5円の収益が作者に還元される。

※例えば180Pの単行本ならば90円が作者へ還元される。

 

このままでは日本に見切りをつけた作家が

Amazonなどの海外業者に流れてしまう未来を

感じてしまう。

 

 

■借金を背負わされる漫画家

 

ほぼ全ての漫画家は借金を背負う。

 

仕事場の家賃、光熱費、アシスタントの給料…。

この辺りは漫画「バクマン。」が詳しい。

※その辺りの話は1話にはない。

 

 

紙媒体の時代と違ってスクリーントーン代や

コピー機のレンタル(或いは買い取り)、

作業に必要なコピー代などが無い分、

今の時代はデジタル作画が主流であり、

アシスタントを雇うにしても

PCとペンタブレットなどの高額機器が人数分必要

莫大な初期投資が必要になってしまうのだ。

 

作業場の敷金礼金、家具などを含めると

総額数百万円ほどかかったという話を幾つも耳にしている。

※マンションの場合、4人家族が住める程度の広さが必要とされ、

 徹夜作業が多い業務なのでアシスタントの寝室が

 必要になる場合があるからである。

 

一人で描いている作家も居られるが

それなりに希少の存在であり

そんな激務を長く続ければ寿命を縮めるのは明白である。

 

漫画家の地位向上と報酬の底上げは

日本の漫画界の未来を考える上で

必要な条件なのである。

 

※注:

 ある大手出版社では新人作家の育成と確保のため、

 東京で借りる住まいの手配や、賃料の補助、

 アシスタントの手配や応募受付と面接、

 売れるまでアシスタント費用を肩代わりするなど

 至れり尽くせりの手厚いサポートをしている編集部もある。

 

 …但し、そこまでとなると期待の大型新人のみだろうが。

 

 酷い出版社は東京に自分で呼んでおいて、

 後は自分で全部やれとばかりに完全に放置して

 ホテルくらい用意してくれると思っていた

 新人作家がその晩の宿にも困り、途方に暮れた、

 という話もある。

 

 

 

大手出版社で連載をしたが人気が出なかった漫画家が

廃業して故郷に帰っていくとき、残ったのは借金だけ、

というのは星の数ほどある話なのである…。

 

漫画家だった人が、

今は中華鍋を振るっているというのは

案外、作り話ではないのかもしれない。

※何故か飲食店に転職する人が多かったらしい。

 

 

-AR