2025年4月15日――静岡県高野連の顧問総会で、一つの大きな一歩が発表されました。浜北特別支援学校の加盟申請が正式に承認されたのです。これは静岡県で初めて、特別支援学校が高校野球の舞台に足を踏み入れる瞬間となりました。

硬式野球部がないこの学校には、ただ一人、高校3年生の生徒が野球への情熱を燃やしています。彼は高校入学後に初めてバットを握り、やがて「甲子園に出たい」という強い思いを胸に抱くようになりました。

その思いに応えるように、彼は今年1月から、知的障害を持つ中高生の夢を後押しする「甲子園プロジェクト」に参加。夢を実現するための一歩を、自らの手で踏み出したのです。

そして、彼のまっすぐな想いに心を動かされたのが、同校に赴任して6年目となる袴田裕之監督(43)。2月には県高野連への加盟に向けて本格的に動き始めました。

「加盟についてとてもうれしく思っています。特別支援学校の生徒でもやれるんだというところを、ぜひ多くの方に見ていただきたい」と袴田監督は語ります。

夏の全国選手権大会の地方大会では、部員数の少ない高校と連合チームを組んで出場を目指す予定です。たった一人の生徒の挑戦が、多くの壁を越え、新たな歴史の扉を開こうとしています。

思い出されるのは、2023年に東京都で実現したもう一つの奇跡。青島特別支援学校が東京都高野連に加盟を果たし、連合チームとして西東京大会に初出場。19-23という熱戦を演じました。翌年には単独チームとして地方大会に挑戦し、スコアは0-66。決して数字だけでは語れない、勇気と誇りに満ちた試合でした。

高校野球は、ただ勝つことが目的ではありません。夢を追い、仲間と共に汗を流し、心を磨く場所でもあるのです。

浜北特別支援学校の挑戦は、まだ始まったばかりです。けれど、彼のプレーひとつひとつが、全国の多くの生徒たちに「夢を諦めなくていいんだ」と伝える希望のメッセージになるでしょう。

一人の小さな一歩が、やがて大きなうねりになる。
この夏、私たちはその始まりを、グラウンドの隅で見届けることになるかもしれません。