くちびるに歌を/中田 永一
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まさに、『青春』!

ムズムズするほど、『青春』だな~と思う本。

中学生の平均台を渡るような危うい内面が良く書いてあった。

今春中学生になった自分の長男を思いながら読んだ。まだまだ幼さが残る息子だが、もう少しすると親にも言えない悩みが出てくるんだろうな・・・。

自分が親には相談しないような子供だったからきっと息子もそうだろう。でも私がそうだったように両親・家族からの愛をたくさん注ぎ込まれてるから、大きな壁にぶつかってもきっと大丈夫。

話は違うが、本を読んでいる途中、アンジェラ・アキの『手紙~拝啓 十五の君へ~』がすごく聞きたくなった。


 一人一人の声が寸分違わずにぴたりと重なり、渾然一体となって場を支配する瞬間があった。入部当初はなかなかその瞬間に 出会うことができなかったけれど、最近になってすこしずつ、ラジオのチューニングが合うかのようにその瞬間が訪れる。奇跡的に声が合わさり、ほんの短い間 だけその感覚につつまれる。そのとき自分の声が、自分の声ではなくなるような気がした。たしかに自分が口を開けて発声しているのだけど、何かもっと大きな 意思によって背中をおされるように歌っているようにおもえる。周囲にひろがるのはだれの声でもない。全員の声が合わさった音のうずである。それはとてもあ たたかくて、このうずのなかにずっといたいとおもえる。その瞬間だけは、孤独もなにもかもわすれる。 (P157-158)

図書館戦争/有川 浩
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 『阪急電車』の図書館のエピソードが好きだったので読んでみた。
でもこんな話だったとは。今気付いたけど、表紙絵そのまま。

このシリーズが出てるようだけど、
『図書館内乱』、『図書館危機』、『図書館革命』
私のリストの中にはもう無いかな。

「僕たちの学校の図書室は今まで生徒の希望を重視した本を購入してくれ ていて、僕たちはそのおかげで様々な感動を本から得ることができました。ところが『考える会』の規制で、僕たちはその感動をかなりの部分取り上げられてし まいました。図書館の本まで規制されてしまったら、本を買うお金が少ない子供たちは読書の楽しみを大幅に失ってしまいます。僕たちは市立図書館に対して、 読書の自由を守ってくれることを希望します」 (P262)



神様のカルテ 2/夏川 草介
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 偉そうだけど、1巻目よりもすごく文章が上手くなっている。読んでいて気持ちよかった。1巻目で少し慣れたせいもあるのか一止(いちと)の古文風口調もあまり気にならなくなった。
話の内容もおもしろかった。
藍染めの松本紬が良く似合う。古狐先生の細君ということは五十を越えているはずだが、ゆったりとした挙措の中にも凛とした空気がある。背丈は古狐先生と同じくらいだが、気品ある立ち姿のためか、すらりと高く見えるくらいだ。 (P107)
 この本に出てくる女の人が凛としていて好き。

「医者は、患者のために命がけで働くべきだという。この国の医療は狂っ ているんだ。医者が命を削り、家族を捨てて患者のために働くことを美徳とする世界。夜も眠らずぼろぼろになるまで働くことを正義とする世界。主治医?馬鹿 を言っちゃいけない。二十四時間受け持ち患者のために駈けずり回るなんて、おかしいだろう。僕たちは人間なんだぞ。それでもこの国の人々は、平然と中傷す るんだ。夜に掛け付けなかった医師に対して、なぜ来なかったのかと大声をあげるんだ。誰もが狂っていて、しかも誰もが自分が正しいと勘違いしているんだ よ。違うか、栗原」 (P163)



無理/奥田 英朗
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 笑える楽しい話ではない。しかも重たいくらい分厚い本。でも最後まで読みたくなる本。
同著者の『空中ブランコ』などの精神科医・伊良部シリーズが好きだったので読んでみた。

 この小説はこの寒い時期に読んだほうがしっくりはまる。
いつも重たい空と冴えない地方都市、このグレーな空間で石が下り坂を転がるように、落ちていく人生。
ひとつ掛け違えばどんどんどんどん悪い方向へ転がっていく。どうすることもできない・・・無理っ。
そういう意味で題名がついたのかどうかわからないけど。
もうすぐ、もうすぐしたらこの人たち(登場人物)に転機あり光が見えてくるんじゃないか・・・と思いながら
読み進めたが一向に「こんなはずではなかった」状態。

最後のあれは転機なのか?

転機であってほしい。

  居間に戻り、窓の前に立つ。昨日から降り続いた雪はやっとやんだが、 相変わらず太陽は姿を消したままだ。日曜日なのに人影はまったくない。誰かの声も聞こえない。雪のせいとはいえ、死んだような町だ。友則は、どうして自分 がこんな場所にいるのかとため息を漏らした。我ながら冴えない人生を送っている。こんなはずではなかった。 (P486)
神様のカルテ/夏川 草介
¥1,260
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軽い。文章が軽い。
図書館で予約していて借りた本で、自分の後に予約者がたくさんいたので延滞は望めないなぁと思い立ち、返却予定日2日前に読み始めたら1日ちょっとで読めてしまった。
夏目漱石風口調の
主人公栗原一止(くりはらいちと)には違和感を感じたが、その奥さんハルには親しみを覚えた。
この夫婦のあり方は自分の理想に近いかも・・・。
安曇さんに施す終末期医療の話は良かったが、もっと安曇さんや一止、まわりの登場人物を深く掘り下げてその人たちの人生も感じることができたらもっともっと感動したと思う。
全体のテーマが重かっただけにさらっと読めたことがちょっと残念な気がする。

ちょっとアラフォーぽい感想になってしまった・・・。

思えば私の仕事も同じようなものかもしれない。
 点滴やら抗生剤やらを用いて、絶える命を引き延ばしているなどと考え ては傲慢だ。もとより寿命なるものは人知の及ぶところではない。最初から定めが決まっている。土に埋もれた定められた命を、掘り起こし光を当て、よりよい 最期の時を作り出していく。医師とはそういう存在ではないか。(P145)

英雄三国志 5 攻防五丈原 (集英社文庫)/柴田 錬三郎
¥760
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 とうとう孔明が死んでしまった。私の大好きだった、趙雲子龍(ちょううんしりゅう)も病気で死んでしまった・・・。関羽や張飛に比べると控えめで、劉備や孔明へ人一倍忠義を尽くす姿が大好きなキャラクターの理由だった。さみしいなぁ・・・。


 孔明が死ぬ間際、すごいの一言。遺言や自分が死んだ後起こるであろう事柄、その対処法などを後継者に伝える・・・、なんという気力だろう。


 この巻では、魏の将軍・仲達との戦いも見もの。軍師ぶりは孔明、運は仲達に軍配が上がる。


 また、最後の方に作者余語がある。これもおもしろい。


次は最終巻。楽しみだ。



ーーーー丞相は、戦場で相果てるお覚悟なのだ。その秋(とき)を、すでに予測されている!

 

 あるいは、並みの人間ならば、もう疾(と)くに他界してしまっているであろう病軀にあり乍ら、孔明は、異常な気力で、蜀という他の二国に比べてすべてが劣る国を、双肩で支えて生きているのであった。 (P274)



孔明は、古今にその比をみざる名丞相であった。(略)孔明は、全く余分な財産な ど、ひとつも所有していなかった。(略)現代の日本の政治家ー殊に、田中角栄などと比べてみるがよい。私は、そのためにも、敢えて、政治家諸氏に、『三国 志』を読むことをすすめたい。 (P451)


 

 筆者は、はたして、姜維(きょうい)の死闘を、いかにして描き得るか、自信はないが、努力をこころみることになる。 (P452)





阪急電車/有川 浩
¥1,470
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10月の連休、運動会だ、プリキュアショーで遊園地だ、と忙しくしていたが、面白く2日(2晩)で読んでしまった。今読んでいる『英雄三国志』は面白いんだけど、2,3ページで寝おちしてしまうのに・・・。

最初の章は図書館に通う征志の話で、ここでもう図書館好きの私としては共感することばかり。なんだか征志も好きになり、この本を書いた有川浩も好きになった。


違うストーリーが少しずつつながっている、この物語の進み方も好き。劇団ひとりが書いた小説も同じような書き方で好きだったけど。


それに登場人物の女性が、みんな凛としていてかっこいい!私もこうありたい。


 一度負けたことがあるので征志にとっての彼女はライバルで、彼女を見かけると何はさておきめぼしい棚を先回りして漁る。

 というのは、どうも好みの作家や興味の傾向が似ているらしいと観察の結果気づいたからだ。

 

 それでも彼女は征志が「あ、あれちょっと面白そうだな」と思うような本を発掘してくるのが巧く、抱えている本にいじましい視線を投げることも度々だ。 (P10)

 


 

 

英雄三国志 4 出師の表 (集英社文庫)/柴田 錬三郎
¥800
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劉備玄徳(りゅうびげんとく)が亡くなって1年。諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)の奮闘がいっぱいの1冊。

 


 

しかし劉備玄徳の後をついだ息子、劉禅(りゅうぜん)の肝っ玉が小さくて残念。

 


 

孔明が恐れる、魏の軍総大将・司馬懿仲達(しばいちゅうだつ)も復帰し、しかも、上に抜き出した通り、死んだはずの関羽(かんう)がまさかの霊魂となって危機一髪、息子を助ける場面もあり、ドッキドキ。



眉は太く濃く、炬と燃える双眼、緑の袍に黄金造りの鎧をまとって、大青龍刀を風車のごとく縦横無尽に使いこなしていた。う ちまたがったのは、駿足赤兎馬(せきとめ)。そして、その顔半面にひるがえるは、まごうかたなき亡父関羽雲長(かんううんちょう)の長髯ではないか。 (P431)

 


放課後はミステリーとともに/東川 篤哉
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う~~ん(ツライ)。


図書館のネット予約をしていたらしく(覚えてない・・・)、携帯メールに「準備できました」との連絡があったので


早速借りて読んでみると「なんだかなぁ~。今風の小説・・・。」と思ってしまった。


軽いというか、ミステリーではないような・・・。


【横山 秀夫】が好きなので、好みがちょっと合わなかったのかも。


でも、「霧が峰涼の屋上密室」の章はちょっと好き。


同作者の『謎解きはディナーのあとで』も予約しているので楽しみに待っておこう・・・。

女子読み「水滸伝」/秋山 久生
¥1,470
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北方水滸伝しか読んだことないので、私の知っている内容と違うけど十分楽しめた本でした。

 


 

泥臭い、男臭い水滸伝を軽~いガールズトークでサクッと切り捨ててるところも◎。

 


 

張氏(ちょうし)と潘金蓮(はんきんれん)の二人と一緒に私も語りた~い!

 


 

でも潘金蓮って相当な悪女らしい。北方水滸伝では、武松(ぶしょう)に一途に愛されていた、儚げな女性だったんだけど。

 


 

108人のイラスト付き解説がおもしろかった。