こんにちは。

今日は中原淳一について書きます。

 

明日、図書館に借りている本を返す予定なので大慌てでまだ読んでいない本を読んでいます。

この2冊も図書館で借りました。

 

画家としての中原淳一はあまり好きではないのですが、ファッションデザイナーとしての中原淳一は好きです。

画家として、というのは中原淳一のような若い女性を描く画家というのは何人かいるのですが、中原淳一の絵は唇が厚く眉毛がキリッとしていて、竹久夢二のような柔らかな感じの方が好きなので、中原淳一は好みじゃないとう、それだけです。でも展覧会は何度か行きましたね。

 

戦後すぐというのは既製服というのが少なく、女性達は自分で自分や家族が着る服を作っていました。服だけでなく、下着やコートもです。そのような服を作る女性に対して、中原淳一は服のスタイルを提案していました。

だいぶ昔のことなので、女性らしさが前面に出たスタイルだと思います。私は女性らしいものが好きなので惹かれてしまいます。古い価値観のもとに提案されたスタイルではありますが、ファッションというのは時代と共に移ろいゆくようでそうではなく、現代にも通用することも書いてあります。

 

『あなたがもっと美しくなるために』の冒頭に書いてある一文を紹介します。

「「美しくなる」ということは、必要以上に濃い化粧をしたり、身分不相応にお金をかけたものを着ることではなくて、自分の欠点、つまり、醜いところを目立たせないように、相手に不快を与えないように、それを補うことを考える心です。」

 

自分の欠点を目立たせない、という考え方をしていたのですね。この考え方は今もあるように思います。唇の形を化粧で整えたり、目を大きく見せようとしたり、鼻を目立たなくする、あるいは高く見せようとする、など。私はどちらかというとコンプレックスをチャームポイントにしよう!という考え方の方が好きです。

 

『あなたがもっと美しくなるために』では、女性の仕草や振る舞い方、髪型の話や服の着こなし方、作る時のポイントなど、中原淳一のこうした方がいいというセンスが紹介されています。

 

オーバーコートの裏地はスッキリと美しく見せるためにもコートの表地と同色の方がいい、と言ったかと思えば、黒いコートの裏地に赤色を使う、またはコートの裏地と中に着るドレスの色や柄を同じにする、とおっしゃっています。頭の先からつま先まで、また、アウターからインナーまで全体の調和を考えているんですよね。文章と共に内容に合わせた絵が添えられていて、そういうのを見て私は、素敵!お洒落!と思うわけです。

 

私が特にいいな、と思ったものを一つ引用したいと思います。

「赤にもいろいろ。

 外に出るときは、ドレスとクツだけはもちろん、それにハンドバッグくらいは持って出るものだし、イヤリングとかブレスレット、手袋、スカーフ、帽子等々、その身につける物は色々とありますが、どんなに素晴らしいものばかりを集めて身につけてみても、その色がまちまちで無計画ではおかしなものになるのはいうまでもないことです。

 また、そろえたつもりで、ほんとにはそろっていない場合もときどき見かけます。

 たとえば、かりに「赤」という色にしても、その赤には色々の種類があって、黄ばんだ赤もあれば、エンジがかった赤、黒ずんだ赤等々――。けれどたとえばその赤がローズっぽい赤であって、それがそのままで濃いものとうすいものを同時に身につけても、それは同じ系統でそろっているからいいのです。

 ところが、黒いドレスに赤で帽子とクツをそろえたとして、バッグの方が朱のようなあざやかな赤で、クツの方はエンジっぽい黒ずんだ赤、そして帽子はローズがかった赤というようなのは、そろえたにはそろえたが、うまくそろわなかった――といった楽屋内を見せられた様でかえってがっかりです。

 そろえるのならきちんとそろえるし、どうせそろわないのなら別の方法を考えることにして下さい。」(96ページ)

 

なるほど・・・!って思いました。同じ赤でも種類が違う、確かに!赤色ってアクセントになるから好きなのですが、確かに色味に種類があって、私が持っている赤いファッショングッズはバラバラだなあ、と考えてしまいました。カバンは紫がかっているし、スカートは鮮やかな赤色だけど、スカートと合わせられるような同じ系統の他の赤いファッショングッズは持っていないですね。

でも、同じ系統の赤でクツや手袋や帽子を揃えられたらすごくお洒落ですよね。同系色にするか反対色にするか、みたいな色のコーディネートを考えたことはあっても、クツやバッグなどの色についてまでは気が回らなかったので、そういう細かいところまで気をつけないとダメですね。

黒色のトップスがあって、これをどう着こなそうか考えています。中原淳一流に、同じ系統の色で揃えたスカートと手袋を合わせたいな、と思っています。

 

『中原淳一の「女学生服装帖」』も面白いです。まだ、眉毛を細く描いていた頃の絵ですね。女学生の髪型の提案があって、学校ではおさげで前髪も上にかき上げてさっぱりした髪型がいい、一方で家や外出時など制服を脱いだときは同じおさげでもリボンをつけたり前髪を下ろしたりカールさせたりして雰囲気を変えることを提案しています。

 

洋服の着回しの仕方も、複数のトップス、ボトムスを用意するのではなく、ベルトやサッシュ、帽子やカラー、カフスなどの小物を組み合わせて着回すというものです。

 

現在売られているファッション誌とは違うことが書かれているので、そういうやり方や組み合わせもあるのかー!と自分の中に取り入れたくなります。

時代と共に廃れていくセンスやお洒落はあるかもしれませんが、何を持ってしてお洒落と思うかは人それぞれで時代遅れ、なんてこともないと思うので、中原淳一のセンスは身につけたいと思います。

ただ、服を手作りしていた頃の話なので、今同じことをするのは難しいです。できる範囲で真似ていきたいです。

 

以上。