2018年度の資料になりますが、在学生と新入学生の年齢構成を見て気づいたことがあります。
18年度春入学の798名のうち23歳未満の学生は161名で20.2%と5分の1を占めていますが、在学生全体となると457名でその比率は5.5%と大きく下がっています。この傾向は近年大きく変わらないと思われます。
年齢層が上がるほど卒業までにかかる年月が長いから比率が高くなるという解釈も成り立ちますが、入学生161名と在学生457名という数字を見ると早期退学者の多さが気になるポイントです。
普通入学の場合は卒業に必要な124単位全てを取得しなければならず、卒業というゴールが見える卒論指導申込までとても長い道のりがあります。
ところがそこに到達するどころか、2年目の学費を納めるまでにリタイアされる方がとても多いように感じます。その多くは送られてきたテキストの量と内容の難解さに圧倒されるのではないでしょうか。大学という場所での学び方も独学で会得していくしかない通信課程の難しさもあります。
また、若い時はまだ人生選択の幅が広く、慶應通信課程はその多くの選択肢のうちの1つに過ぎず、別の学びの方法に変更することはさして重大なことではないでしょう。学費の安さも手伝って入学の覚悟も浅いのかもしれません。
ただ残念なのは、第一に、学ぶ喜びを知らずして学位を諦めてしまうことです。テキストの内容が理解できない。レポートの書き方がわからない。参考文献の探し方がわからない。そのような理由で、なんとなく学習から離れていってしまうことです。
第二に、さまざまなSNSを駆使して情報を集めるのだけれど、周囲の塾生の学習スピードの速さと比較して落ち込んでしまうことはありませんか、いきなり6科目受験を成し遂げる強者もいらしたり、着実に単位を積み重ねていく同期生に「やっぱり自分には無理かも」みたいになったりはしてませんか。
またせっかく要卒単位を満たしているのに卒業論文の作成段階で足踏みをしている塾生も多くいらっしゃいます。それまでの知識の習得だけでなく、自ら問いを立て仮説を設定し、それを論証していくという作業は慶應の学位を取るための大きな関門です。これを乗り越えられずに卒業を断念してしまうのは本当に残念でなりません。
普通課程で努力されている塾生の卒業率を向上させたい。
それが私の願いです。