「刑法には『人を殺してはいけない』『ものを盗んではいけない』などと何故書いていないのか」
こんな高校生の疑問に一発で答えることができますか?と言われて、ハッと我にかえる。
このような素朴な疑問にわかりやすく答えるというのが実に難しい。
「殺人でも、殺意のあるものから正当防衛までいろいろあるから」
「いちいち細かに書くと抜け穴ができるから」
いろいろ回答はあるでしょう。
でも「刑法は国民への禁止規定ではない」ということがその質問へのもっとも適切な答えだと理解することが法を学ぶ醍醐味ではないでしょうか。
刑法は立法府が司法府への命令規定なんだと。そう規定するのは「国民の内心の自由を国家が侵してはならない」という基本的人権の原理に基づくものなんだと。そこで法はあらかじめ罪になる行為と罰則を明確に規定しており(罪刑法定主義)、恣意的に個人が犯罪者にならないよう定めています。
こんな法の仕組みが分かった時、私は学問の面白さを実感するのです。
憲法も国民の義務を定めることが主体ではありません(憲法で謳われる国民の三大義務とは、子女への教育、勤労、納税)。
したがって憲法を守らなければならないのは国民ではなく権力者なのです。国民の権利を守るために権力者の権限を規定するものだということをまずは押さえてから、一般法から特別法へと枝葉を広げるように学んでいくことが大切かと思います。
合わせて、「法哲学」や「政治哲学」「ヨーロッパ政治思想」などの早めの履修も理解を深める一助になります。
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