マーケティングとパロディ | マーケティングブログ@Arty-CO 

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おはようございます。
もうじき町内会会長(1年毎の持ち回り)を引退するのですが、引継ぎと同時に予定されている(町内会恒例の)タコ焼きパーティーに思いを馳せるArtyマーケティング担当です。


少し前の話題ですが、高級時計『フランク・ミュラー』のパロディ商品である『フランク三浦』の商標が有効かどうかを争っていた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷は『フランク・ミュラー』側の上告を退けました。


これにより、『フランク三浦』側は、引き続き販売を行うことができることが決定しました。


最高裁は、

  • 呼称は似ているが、外観で明確に区別できる
  • ミュラー側商品の多くは100万円~1億を超える高級腕時計であり、4,000~6,000円程度の三浦側の商品と混同するとは考えられない

と判断し、今回の結論に至ったようですが、いろいろ判断は難しいものだったと想像できます。

 

 

『フランク三浦』は、大阪の時計メーカーが販売しており、ホームページ上や取扱説明書でも

  • 完全非防水
  • 時間は携帯電話・スマホ、駅の時計などでお確かめください
  • 裏ブタやベルトの傷などは当たり前のようについておりますが苦情や返品、返金には一切応じることができませんのでご了承ください
  • 汗、気圧、温度変化などありとあらゆる水気や空気中の水分にすら耐えられません

など、結構攻めた内容が書かれており、いかにも関西っぽい『匂い』がします(笑)。

 

 

あちこちのニュースサイトを読んでみると、そもそものスタートとしては、まずブランドとしてのコンセプトが作られたとのことです。前回このBLOGでも紹介した駄菓子メーカーオリオンもそうでしたが、やはりポイントは『いかに世界観を緻密に作り上げるか』のようです。

 

フランク三浦は、ブランドサイトを見ても 単なる一発屋のパロディ商品ではなく、全国47都道府県をイメージした『ご当地三浦シリーズ(http://tensaitokeishi.jp/shopbrand/ct12/)やコラボモデル(http://tensaitokeishi.jp/shopbrand/ct11/)など、ブランドとして様々な広がりがあり、コンセプトがしっかり作りこまれていることが感じられます。取扱説明書や商品デザインなど、緻密で統一された世界観でブランディングされており、評判になるのもうなずけます。

 

 

『パロディ』と意味の似た言葉として、『オマージュ』『インスパイア』『トリビュート』『パクリ(笑)』などが挙げられますが、いずれも線を引くのが難しく、販売差し止め訴訟や著作権、意匠権などの侵害に対する訴訟などを起こされる・敗訴する可能性のある諸刃の剣であることは言うまでもありません。

 

伝わりやすい表現である『パロディ』を組み込むことは、良い評価か悪い評価かがハッキリしやすいということも十分に理解し、

 

本家を明らかにし、本家へのリスペクトを忘れない。

ということが大切なのは、言うまでもありません。

 

 

最初のコンセプトの段階で(もちろん最後まで継続して)ココをしっかり意識し、ブレなく商品・ブランドに落とし込まれた短い訴求は、伝わる度毎の『伝達ロス』が少ないものです。良い訴求は、もともとある価値をロスなく伝えるものであり、別のモノをプラスするモノではないのです。

 

 

SNSが発達し、個人間の情報伝達が早い(だけでなく爆発的に拡散する可能性を秘めている)現代、安易に取り組むのではなく、リスクがあるということを忘れずに、うまく使いこなしたいものです。