★美術館レポート★
<マイセンとハインツ・ヴェルナーの世界>

 

\ YouTube動画でも見られます(展覧会終了まで)/

ティータイムを華やかに彩る器として知られるマイセン。
その中でも、20世紀のマイセン窯を代表する装飾家ハインツ・ヴェルナーが手がけたコーヒー&ティーサービスは、独創的なデザインで多くの人を魅了しています。



ヴェルナー初期の代表作《満開の樹》では、繊細な線描の樹木に満開の花と愛らしい鳥が描かれています。



鳥はヴェルナーの得意分野でした。《青緑で描かれた鳥の絵》では、鳥の親子をデフォルメした表現はアニメーションを思わせ、青や緑を基調にした色合いに差し込まれる朱色がアクセントとなり、可憐でありながらも洗練された印象を与えます。
器の中央にモチーフを配置し、余白を大きく取ることで、静かな時間に寄り添うような優美さが生まれています。



《スウィトピーの文様》はマイセン創立250周年を記念して制作されたものです。
リズミカルな線と鮮やかな花々は、従来の伝統的な花文様とは異なる新鮮さを放ち、発表当時は内部でも賛否両論を呼びました。



さらに、文学や物語に着想を得たシリーズも多く、たとえば《ミュンヒハウゼン》では、「ほら吹き男爵」の物語が描かれています。
ほら吹き男爵の冒険を繊細に描き、観る人を愉快な世界へと誘います。



これをきっかけに、《アラビアンナイト》や《サマーナイト》では、物語から着想を得て幻想的な装飾が施され、ティータイムを一層特別なひとときへと変えてくれます。



ヴェルナーの作品は、自然や物語をモチーフにしながらも、どこか遊び心とメルヘンの香りを漂わせます。
それは、忙しい日常の中で過ごすティータイムにぴったりの存在です。
美しい器を手にすれば、ただお茶を飲むだけでなく、アートに触れるような豊かな体験が広がるのです。



陶磁器のデザインはプリントで描かれることも多くなった現代、マイセンの器は、今でもドイツ国内で手作業で描かれているのが特徴です。
豊かな色彩、そして物語性。これらが一体となった器は、日常のティータイムを芸術的なひとときへと変えてくれるのです。
 

 

(本文中の写真は「巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―」の内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。)

■特別展

巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―
 

会期:2025年8月30日(土)-11月3日(月・祝)
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
時間:11:00-18:00
※金曜日は19:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、9月16日・10月14日(火) ※9/15・10/13・11/3(月・祝)は開館
詳細:https://sen-oku.or.jp/tokyo/

 

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