★美術館レポート★
「東京藝術大学では、どんな講義を受けているのだろう?」
そんな素朴な疑問に答えてくれる、少しユニークな展覧会が開催中です。
■(右)黒田清輝「婦人像(厨房)」明治25年(1892)東京藝術大学蔵
(左)ラファエル・コラン「田園恋愛詩」1882年 東京藝術大学蔵
展示テーマは、東京藝大で実際に行われている美術の講義です。会場には、講座の目標や概要、担当教員から学生へのメッセージが紹介されていて、まるで東京藝大の講義に参加している気持ちになります。

「美術って難しそう」と感じる人も多いかもしれませんが、この展示には作品を見るためのヒントがたくさん詰まっています。講義は1限から12限まで用意され、それぞれ異なるテーマで美術の世界を学ぶことができます。

例えば模写をテーマにした展示では、学生が実際に模写に取り組む様子が紹介され、学生たちの模写作品も並んでいます。自分らしい作品を描きたいと思って入学した学生にとって、他人の作品を忠実に描き写すことは想像以上に難しく、苦手意識を持つ人も少なくないそうです。

■(右)黒田清輝 模本制作/レンブラント・ファン・レイン 原作「羽帽子をかぶった自画像」明治22年(1889)東京藝術大学蔵
(左)高橋由一「日本武尊」明治時代 東京藝術大学蔵
それでも模写には、画家の筆づかいや色づかい、構図を体感しながら学べる魅力があります。学生たちの模写作品を見ながら「どうやって描いたのだろう」と想像する時間も、とても楽しい体験です。

■「模写・国宝 源氏物語絵巻」展示の様子
また、日本でも人気の高い西洋美術について学べる展示も充実しています。幕末から明治時代にかけて西洋文化が日本へ伝わり、日本人は新しい美術表現に触れるようになりました。美術の歴史的な背景を学びながら、名作を学生になった気分で鑑賞できます。

そのほかにも、彫刻文化財の保存修復を学ぶ講義や、あのゴッホが使用した貴重な版画印刷機の展示など、幅広いテーマが紹介されています。美術作品を観るだけでなく、「作品がどのように生まれ、受け継がれてきたのか」という裏側まで知ることができるのも、この展示の魅力です。

美術館は少し敷居が高いと感じていた人でも、この展示ならきっと新しい発見があるはず。
藝大生の学びを一緒に体験しながら、自分の「好き」が見つかるテーマを探しに出かけてみましょう。

■6限目 模刻保存特殊講義「模刻から学ぶ仏像の保存修復」展示の様子
(本文中の写真は主催者の許可を得て撮影しています。)
■藝大式 美術の"ミカタ" ―この夏、藝大生になる―
2026年7月24日(金)-9月23日(水・祝)
東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4(東京・上野公園)
https://geidai-art-mikata.jp
■アートツリー出版社の投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』では展覧会情報や写真作品を掲載しています。
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