現在公開中の映画『あの人が消えた』を観てきました。

 住人が消えるという噂のあるマンション。そのマンションの配達を担当することになった丸子は恐ろしい事件に巻き込まれる!

 いやあ、すっかり騙されました、この映画に。でもどのように騙されたかは言えません。ネタバレ厳禁の映画だからです。これからご覧になる方も極力事前情報は耳に入れないで臨んだほうがいいでしょう。本稿もネタバレ厳禁でお送りします。

 私が鑑賞した回は初日公開記念舞台挨拶中継付きでした。このため監督や出演陣の裏話を聞くことができました。

 水野格監督が(格と書いてイタルと読むのは舞台挨拶で初めて知りました)この映画の脚本の初稿を書いたのは2020年、つまりコロナ禍真っ最中の頃だったそうです。恐らくですが初稿段階で本作の原型となるアイデアはすべて出揃っていたのだと思います。それから5年、これもまた恐らく何十回となく推敲を繰り返されたのだと思います。その端々が映画を観ているとわかります。

 出演陣のうち、高橋さんと田中さんはプロデューサーの推薦、北さんと染谷さんは監督の自薦だったそうです。実に絶妙な取り合わせです。特に高橋さんはしがない学生バイトの役を細やかに演じています。『からかい上手の高木さん』もそうでしたが、こういうオロオロドキドキな役は本当にはまり役なんですね。

 前回の稿でオリジナル映画を期待する、と書きました。この映画もまた水野監督が自ら脚本を描き下ろしたオリジナル映画です。オリジナル映画らしく、今までに見たこともない物語を、映画でしかできない演出で見せてくれます。オリジナル映画として見事な出来といっていいと思います。

 内容は言えませんが、映画に騙されたい方には是非おすすめの一本です。
240924