ちょっと素敵な二人展を観てきました。現在、外苑前のMAHO KUBOTA GALLERYで開催中の『山口幸士+江﨑文武 Reflection / Reverb curated by 山本憲資』です。どこが素敵かと言うと、音楽と絵画を同時に楽しめる展覧会なのです。



 まずギャラリーに入ると、真ん中にアップライトのピアノがでんと置かれています。これも芸術作品なのか何かのオブジェかと思うと、突然、ピアノが自動演奏を始めるのです。種を明かすと本展は、山口幸士さんが描いた絵画からインスピレーションを受けた江﨑文武が絵1枚ごとに楽曲を制作したインスタレーションなのです。曲が始まると、その絵画に明かりが灯ります。絵画の隣には楽譜の一部が展示されています。絵画と音楽が一対の作品なのです。



 山口さんの絵画は水面の反射やさざ波や月の光や木々のこもれ陽を描いた風景画です。いずれも光の反射がテーマになっているようです。写真でいうと「ボケ」を生かした描写で、どこか記憶の中の景色のような曖昧さがあります。



 これにあわせて作られた江崎さんのピアノ曲はシンプルなメロディがミニマムに繰り返される感じです。波長のように寄せては返す光のさざ波をイメージしているのかもしれません。いつまでも聞いていたくなるやさしい曲調なのです。私はサウンドトラックが欲しくなりました。

 事実、小さなギャラリーに来られた鑑賞者の方々は、私も含めて、佇むように曲と絵に見入っていました。実にいい感じの展覧会なのです。

MAHO KUBOTA GALLERY
『Reflection / Reverb』は7月27日まで開催中です。
240722