現在公開中の奈緒さん主演の映画『先生の白い嘘』を観てきました。原作は鳥飼茜さんの同名漫画。毎度のごとく未読で臨みました。

 高校教師の美鈴は親友の彼氏とずるずると関係を続けていた。そんなある日、担任の男子生徒が事件を起こすのだが・・・。

 本作の公開で私は初めてインティマシー・コーディネーターなる職種があることを知りました。これは「性的な表現を伴う撮影の際、制作者と出演俳優との間に立って調整を行う専門家」だそうです。実際に本編を観て、なるほどなあと思いました。

 この映画は男性と女性では見方、評価が大きく別れるでしょう。年代や人生経験によっても異なると思われます。私はこの映画の登場人物について誰ひとり共感も理解もできませんでした。いや共感も理解もしたくない、というのが正直な感想です。それは内容が露悪的かつ暴力的な性描写があるからではありません。

 この映画は男と女の関係、あるいは性と暴力の関係についての映画です。私は人間関係というのは個と個の関係だと考えています。「男と女」の関係ではなく、「あなたと私」、「私とあなた」の関係なのです。それについて「男は」とか「女は」というように一般化することを好みません。この映画は「私」とは何なのか、「私はあなたにどう向き合うべきなのか」という部分が薄いと感じました。

 出演者された方の名誉のために断言しますが、奈緒さん、風間俊介さん、三吉彩花さんは素晴らしい演技です。役者人生に傷がつきそうなそれぞれの役柄を文字通り身体を犠牲にして演じられています。あらためて称賛いたします。
240708