現在、京都市京セラ美術館で開催中の京都市美術館開館90周年記念展『村上隆 もののけ京都』を観てきました。本展は国内では8年ぶり、東京以外では初めての個展だそうです。

 さて本展、大作・新作が目白押しで見どころたっぷりなのですが、私的に一番面白かったのは、各所に設置されている村上さん自身の手による解説なのです。これです。



 なにしろ冒頭からお詫びと言い訳と韜晦がたっぷり書かれているのです。一言で言えば「アーティストはつらいよ」です。

 そもそも村上さんクラスのアーティストの個展ともなれば代表作を揃えての展覧会が通常です。しかし代表作は世界中にあり、それらをかき集めようとすると巨額の費用がかかります。ならばということで全部新作で揃えようとしたのが間違い?のはじまり。本展では約170点の展示作品のうち160点あまりが新作だそうですが、1日1点つくっても半年がかりです。とても間に合いません。



 実際、最初に展示されているこの壮麗な《洛中洛外図 岩佐又兵衛rip》からして未完成品です。本作では金雲のなかに髑髏が刻印されているのですが、この金雲が全部貼りきれていないそうです。なお各所に村上キャラがこっそり忍び込んでいるのを発見するのもお楽しみです。



 こちらの《四季フジワラ》も未完制作。足掛け7年も制作を続けているそうです。画面にびっしり貼られた数字は「素数」、1とその数字以外では割り切れない数です。作品に対する割り切れない思いが込められています。

 一応、会期中も制作を続けるそうで、本展の完成形を見れるのは8月末なのかもしれません。

 肝心の見どころが紹介できなかったので、この項次回に続きます。

京都市京セラ美術館
『村上隆 もののけ 京都』
は9月1日まで開催中です。
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