現在、東京都現代美術館で開催中のサエボーグさんと津田道子さんの2人展『サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」』を観てきました。本展は第4回Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024を受賞されたお二人を記念して行われるものです。



 サエボーグさんのコーナーに入ると、いきなり異世界が広がります。眼の前には巨大な山小屋らしきものが建っています。その周囲にはう◯こらしきものが散らばっています。上には巨大な蝿がたかっているのです。



 小屋の門をくぐると開け放たれた空間の中に円形のステージがあります。そこには犬が・・・着ぐるみの犬が鑑賞者を待っているのです。犬は比較的人懐こいらしく、近づくと手を舐めたりしてくれます。

 サエボーグさんのコメントによると、そこには人間とペットの間の「生きる意味」が込められているようです。確かにそこには奇妙な交流がありました。



 津田道子さんの作品はさらに奇妙です。コーナー内に入ると、薄暗い空間の中に大きな枠というかモニターが屏風のように立てられています。そこには日常的な動作をする人々が映されます。暗闇の中なので、モニターの人なのか鑑賞者の一人なのか、見分けがつかなくなります。さらにこの枠はミラーになっているものと、ただ枠だけのものが入り混じり実像か虚像なのかもわからなくなります。

 ふたつの作品に共通しているのは「関係性」です。サエボーグさんの作品は、犬(サエドッグというそうです)と鑑賞者の関係性が、津田さんの作品は実像と虚像と鑑賞者の関係性がテーマになっています。

東京都現代美術館
『サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」』は7月7日まで開催中です。
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