既に終了してしまったのですが、東京都渋谷公園通りギャラリーで開催されていた今村遼佑さんと光島貴之さんの二人展「〈感覚の点P〉展 プレイベント」を観てきました。本展はタイトルにあるように来年開催される「〈感覚の点P〉展」のプレとして行われるプログラムです。言わば予告編ですね。でも十分面白かったのです。なぜならば「触って鑑賞する」アートだったからです。



 小ぶりの木片に釘やおはじきのようなもの、ボルトやナットなどが埋め込まれています。鑑賞者は自由に触って楽しむことができます。実際に触ってみた感触は、なめらか、あたたか、つめたさという感じです。無機物でできているのですが、生き物のようなぬくもりを感じます。不思議と触っていると気持ちいいのです。



 こちらの作品はテーブルの上にいくつもの表面が異なる素材を貼り付けたもの。もちろんこちらも触って楽しむことができます。感触はツルツル、トゲトゲ、ペタペタ。やはり人肌を触っているような手触りです。

 光島貴之さんは全盲の美術作家です。今村遼佑と組んだ本展は「感覚をめぐるリサーチ・プロジェクト」というサブタイトルがついているように、「『感覚』についての対話」を行う展覧会と言っていいでしょう。自分自身の感覚を再確認・再発見することができます。それはまた他者の感覚に意識を向けるきっかけにもなるでしょう。来年の本番の展覧会が今から楽しみです。
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