現在、横浜高島屋ギャラリーで開催中の「不思議の国のアリス展」を観てきました。


 ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」が出版されたのは1965年のことです。ちょっと気が早いような気もしますが、本展は出版160周年を記念して行われるものです。

 「不思議の国のアリス」といえば、この初版に掲載されたジョン・テニエルの挿絵が有名です。ところが私も知らなかったのですが、実は著者のルイス・キャロル本人が描いた挿絵が存在するんですね。1965年の出版より先、1964年のクリスマスにキャロルは挿絵をつけた手作り本『地下の国のアリス』を次女のアリスにプレゼントしているのです。本展ではそのキャロル本人の挿絵とテニエルの挿絵、そして後世に着色されたカラー版の挿絵を見比べることができます。



 キャロルの挿絵はシンプルにお話の核心の部分を抜き出して描いています。それに対してテニエルはキャロルのオリジナルを尊重しつつ、そこに背景情報を書き加えて立体的に仕上げています。わかりやすくいうとキャロル版はイラスト的マンガ的であり、テニエル版は映画的といった感じです。またテニエルは風刺画家だったこともあり、顔や手の表情が豊かです。一方キャロル版もシンプルで味があってよいのです。素人の絵とは思えない出来です。

 続編の「鏡の国のアリス」ではキャロルのオリジナルな絵はなかったので、テニエルが自由に描いているようです。キャラクターのデザインなど、風刺画家らしいデフォルメが効いてます。



 各箇所に撮影スポットがあって、アリスの世界に浸れます。アリスファンなら必見の展覧会でしょう。

横浜高島屋ギャラリー
「不思議の国のアリス展」は5月6日まで開催中です。
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