現在公開中の映画「陰陽師0」を観てきました。

 平安時代、陰陽師を目指す学生(がくしょう)の一人、安倍晴明は、都を襲う怪異に立ち向かう!

 原作は夢枕獏さんの人気小説「陰陽師」。例によって私は未読です。もっとも平安時代の「今昔物語」に既に安倍晴明の記述があり、この映画にも反映されているので、こちらが真の原作といえるかもしれません。

 この映画、ちょっと思っていたのとは違ったんですよね。なにしろ主演は今が旬の山崎賢人さん(正しくは立のさき)です。てっきり「キングダム」や「ゴールデンカムイ」ばりに、山崎賢人がダイナミックなアクションでバッタバッタと呪いを祓いまくる映画かと思っていたのです。

 しかし、実際に観てみたら山崎賢人さん演じる安倍晴明と、染谷将太さん演じる源博雅がホームズとワトソンのように謎を解決するバディムービーに、奈緒さん演じる徽子女王とのラブロマンスが絡むという展開でした。あ、ちゃんと山崎さんのアクションシーンもありますよ。

 晴明と博雅のバディ感はベタといえばベタな描き方なのですが、わかりやすくて良かったです。監督・脚本の佐藤嗣麻子さんは、本当は染谷将太くんメインで撮りたかったのではないでしょうか。いい場面は結構染谷さんが持って行ってるような気がします。奈緒さん演じる徽子女王はさすがで、思わず涙してしまいました。山崎賢人さんは卒なくという感じなのですが、無表情で歩きながら喋るシーンは、天下の大将軍というより、斉木楠雄か桃瀬成海のようでした。

 この映画の難点としては、平安時代のお話なのに、やたら意識とか無意識とか暗示とか現代的な心理学用語が飛び交うところです。平安の雰囲気に浸りたくても、そこのところで冷めてしまうんですよね。

 わざわざ「0(ゼロ)」としたからには、1とか2も作るつもりなのでしょうか。心配なのは山崎賢人さんのスケジュールが空くかどうかなだけの気がします。
240422