現在、青山にあるファーガス・マカフリー東京で開催中のアンゼルム・キーファーによる個展「Opus Magnum」を観てきました。

 本展を観て衝撃を受けました。しかし、それがどんな衝撃なのか、なぜ衝撃を受けたのか、どこに衝撃を受けたのか。どうやって言語化していいのか未だによくわかりません。



 展示されているものはある意味シンプルです。ガラスケースに収められた標本箱のような作品と水彩画が20点ほどだけだからです。



 その標本箱の中身はとてつもなく奇妙です。例えばこの《小さな脳の家(グリム兄弟)》と名付けられた作品は、瓦礫のようなレンガのような石のようなものが格子状に積み重なった箱の中に樹脂製の脳が収められています。れんがからは何かヒモみたいなものがぶら下がっています。これは人間の精神の牢屋を意味しているのでしょうか。



《魔女の秤》
 これは秤です。分銅のもう片方には小さな四角い箱があり、その中にはどうやら胎児らしきものがはいっています。両者はどうやら釣り合いが取れているようです。魔術的な力が働いているのでしょうか。

 これ以外のどの作品も謎めいています。そして、どの作品も朽ち果て、サビつき、崩れかけています。それはまるで廃墟か瓦礫の一部分を切り取ったかのようです。

 そもそもガラスケース自体、最初にも述べたように標本箱のようです。3000年ぐらいの未来に、今の時代を発掘して標本に収めたらこんな感じではないかと思われます。白い部屋に静かに収められたガラスケースたちは、遠い昔かつていた人類の反映の名残を留めているかのようです。

 ところで「Opus Magnum」という展覧会タイトルは「傑作、大作」という意味のようです。一方で同じタイトルの難解なパズルゲームもあります。一体どちらの意味なのでしょうか。

 いずれにしても、この感じを受け取るには実物を見るしかありません。興味を持たれた方はぜひ、訪れてみてください。

ファーガス・マカフリー東京
アンゼルム・キーファー個展「Opus Magnum」は6月29日まで開催中です。なお会場の都合上、一時に入場できる人数は5人までと制限されています。このため土日などは行列必死です。
またキーファーは来年京都二条城で個展が開催されるそうです。これは今から楽しみです。
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