現在横浜エリアで開催されているBank ART Life7「Urban  Nesting 再び都市に棲む」を観てきました。

 最初に。私が観たのは新高島駅のBank ART Stationの展示だけです。実際には本展はそのタイトル通り横浜という都市全体に広がっています。まさに都市に棲む展覧会になっています。チケットを購入するとマップがもらえますが、かなり広いエリアに点在しています。多分1日で全部見て回るのはシンドイのではと思います。計画的に回るとよいでしょう。

 「都市に棲む」というタイトルが表すように、本展の展示作品は、いずれも都市の風景や日常と深く繋がっているようです。



 例えば志田塗装+酒井一吉さんの《Anno Bomb》は、横浜の建築物の外壁塗装を引き剥がした作品です。それはまるで都市が脱皮した後の皮のようです。

 横浜は近代塗装発祥の地だそうです。考えてみれば日本の古民家などは外壁を塗装する概念なんてないわけで、外壁にわざわざ塗料を塗るのは西洋的な発想であり建築です。これは横浜という都市の記憶を移しとった拓本のようなものかも知れません。



 片岡純也さん+岩竹理恵さんの《新陳代謝のある都市の風景》は何だかよくわからない大きな機械たちです。一定的に電源が入り、ぐるぐる回ったり、波打ったり、風を吹きだしたりしています。お二人は伊勢崎町を歩きながら、本作を思いついたそうです。これは都市の息吹なのかもしれません。あるいは伊勢崎町ブルースかも。



 橋本加奈子さんの《洗濯物の彫刻》は一瞬ドキッとします。洗濯物がたくさんブラ下がっているのですが、全て灰色でコンクリートか石でできているかのように見えるからです。実際にはこれらは布でただ灰色なだけのようです。それにしてもありふれた日常のものがこんな姿になると、まるで化石の森に来たかのように感じられます。


葭村太一《北緯35度27分43秒 東経139度37分28秒》

 並んだ数字は地球上のある1地点を指し示します。置かれた作品に添えつけられたバーコードを読み取ると、この地点のストリートビューが表示されます。


こんな感じです。

 作品はこの地点を形にしたものなのです。これは都市の学術標本なのでしょう。

 私たちが棲む都市は日々変化し続けます。本展の作品がいずれも、この変化し続ける都市の姿をアーカイブしようという試みのようです。

Bank ART Life7
「再び都市に棲む」は6月9日まで開催中です。
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