残念ながら3月10日で終了してしまったのですが、渋谷のSACSで展示されていた渡辺志桜里さんの個展「BLUE」を観てきました。


展示風景より

 タイトルのBLUEは外来魚のブルーギルから来ています。ブルーギルは「特定外来生物による生態系などに係る被害の防止に関する法律」によって規制されています。しかし、皇居のお堀は、ブルーギルやブラックバスがはびこっている状態だといいます。


展示風景より

 これまでも生態系やエコシステムに関する作品を発表してきた渡辺さんは、こうした外来種の問題を指摘しつつ、はたして外来種とは何か、という視点を提示しています。もちろん強力な外来種がそれまでの生態系を脅かすことは事実です。こうした事態を許せば、いずれ種は強力な種だけが生き残ることになるでしょう。種の豊穣性が失われてしまうのです。


展示風景より

 一方で、同じように在来種ではないはずの鯉は珍重されます。先日テレビのニュースで観た光景では、美しい錦鯉がブームとなり、世界中から愛好家が日本に押し寄せているようです。これは金儲けができればOKで、そうでない種は駆除されるということなのでしょうか。

 植物も同様です。今日本人が食べている野菜類はほとんどが外来種です。キャベツもレタスもトマトも元から日本の地に自生していたものではありません。自分たちが食べる、食べれるものであるのならば、外来種は全然OKなのです。それによって日本の伝統野菜が駆逐されたとしても。

 渡辺さんは絶滅危惧種のしりとりのお話を紹介していました。そのしりとりのオチは誰かが、「人間」と言ってしまって終わりになる、というものです。本当にそうならないよう、考え行動しなければならない時代なのです。
240312