現在、シャネル・ネクサス・ホールで開催中の「ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展」を見てきました。

 ヒューンは1920年代から40年代にかけて活躍したファッション・フォトグラファーです。シャネルとも深い親交があったそうです。

 ヒューンの写真の特徴を一言で言うとするならば「絵画芸術のような写真」ということができるでしょう。例えばガブリエル・シャネルを撮影したこのポートレートです。



 解説によるとこのポートレートは16世紀のカトリーヌ・ド・メディチの肖像画に酷似しているそうです。この絵ですね。



 確かに言われてみると雰囲気が似ています。

 この絵と写真から、2つのことが読み取れます。ひとつはヒューンが500年前にあった肖像画のように、このガブリエル・シャネルのポートレートに永続性と普遍性を求めたのではないかということです。

 もうひとつはヒューンがシャネルを16世紀の宮廷画家のように撮ったのではないか、ということです。そこには単なるポートレートというよりもシャネルの人とその時代を記録する意味合いもあったのではないかと思われます。

 そのほかの写真も十二分に絵画的です。わかりやすいのはダリと愛妻ガラを撮った写真。



 まんまダリの描くシュールレアリスムの絵画です。



 恋人とされるホルストを撮った写真は、さながらギリシア彫刻のようです。

 制作風景を見ると、ヒューンがこだわりにこだわりぬいて撮影している様子がうかがえます。



キャサリン・ヘップバーンやマレーネ・ディートリッヒ、ゲイリー・クーパーなど、当時の名だたる大スターがこぞってヒューンにポートレートを撮ってもらっているのも、彼の撮る写真が永続性と普遍性を勝ち得ているからではないかと思われます。

シャネル・ネクサス・ホール
「ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展」
は3月31日まで開催中です。写真を志す方にも参考になる写真展ではないかと思います。
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