現在、そごう美術館で開催中の「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」展を観てきました。先日観た映画「ゲゲゲの謎」同様、本展も水木しげるさん生誕100周年を記念して開催されるものです。

 百鬼夜行とありますが、本展は水木さんの生涯を振り返る回顧展です。1922年鳥取県堺港市で生まれた水木さんは、幼少の頃より近所の「のんのんばあ」という拝み屋のおばあさんに妖怪話を聞かされて育ちました。何しろ大正時代の話です。夜の道を歩いていて、カランコロンという下駄をする妖怪に後をつけられるなんて話を聞かされたら、子供心にも相当恐ろしいことでしょう。

 その後、水木さんは従軍し、ラバウルで重傷を負います。そしてそこでも怪異や現地の妖怪話を耳にするのです。

 戦地から帰った水木さんは紙芝居絵師から貸本漫画家を経て、少年誌にデビューします。紙芝居の「ハカバキタロー」から着想を得て、幽霊族の生き残りとして「墓場の鬼太郎」を想像し、一大妖怪ブームを築くのでした。

 本展ではこのように水木さんの生涯を振り返るところから、水木さんの貴重な古書のコレクションの紹介など、水木さんがどのように数々の妖怪を生み出したかがよくわかる展示になっています。

 後半は百鬼夜行ということで、水木さんが描いた妖怪画が約100点勢揃いしています。そこには、おどろおどろしさの中にもどこか愛嬌というかユーモアがあります。変な話ですが、妖怪なのにどこか人間っぽいんですよね。それが水木妖怪の魅力なのかもしれません。

 とまあここまでは褒め言葉なのですが、今回は苦言を少し。

 現在アニメ映画も公開中ということで、親子連れが多く来場することは予想がつきます。しかも今回中学生以下は無料です。にも関わらず、展示に子供目線が配慮されていません。妖怪画の多くは男性の私が見ても高い位置に設置されています。これでは子供は親に抱っこしてもらわなければ見ることができません。実際そうして見ている方がいました。

 また原画が撮影禁止なのはわかりますが、せめて妖怪のフィギュアは撮影OKにするべきだったのではないでしょうか。最後の「ぬり壁」は撮影OKなのですから。



 それらを含めて水木さんファンのための真面目な大人向けの展示会という前提で行かれるほうがいいと思います。


会場ではARでこんな写真が撮れるコーナーも。


そごう美術館
「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」展は3月10日まで開催中です。
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