現在、森アーツセンターギャラリーで開催中の「キース・ヘリング展」を観てきました。

 キース・ヘリングは1978年20才の時にニューヨークに出てきました。ニューヨークの地下鉄の開いている広告板にチョークアートを書き始めたことで有名になりました。その活動期間はわずか10年程です。

 本展では「アートをみんなのために」という信念のもと短い人生を駆け抜けたヘリングの生涯を約150点の作品で振り返る展覧会です。



 会場ではまず最初に公共の場所でアートを描き続けたヘリングの姿が紹介されています。




 ごく初期のサブウェイアート。この時点で既にヘリングの絵柄は完成されていることがわかります。



 また単に明るくポップなだけでなく、反戦や広島、エイズといった社会問題に対して「沈黙は死だ」と訴える力強さも備えています。

 ヘリングは日本ともゆかりが深く、何度も日本を訪れています。後半では日本でのヘリングの活躍も紹介されています。

 実は本展で一番面白かったのは、一番最後に投影されているビデオなんですよね。ヘリングが1988年に日本を訪問した時の映像です。

 原宿の駅前で撮影されたと思しきビデオには当時流行っていた竹の子族が踊る光景が収められています。頭で回転したりとか、ロボット風のものあったりとか、時代は感じますが、ダンスを楽しむ姿は今と変わりません。DJもいます。そのまわりで地面にチョークアートを描くヘリングの楽しそうなこと。そのチョークアートがまたダンスとしっかりシンクロしているのです。

 ヘリングは「人生ははかない。それは生と死の間の細い線だ」と語っています。自分の死期を悟っていたようなこの言葉には、生きている間は全力で生き抜きたいという思いが込められているように思います。

森アーツセンターギャラリー
「キース・ヘリング展」は2月25日まで開催中です。
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