現在、オープンしたばかりの麻布台ヒルズギャラリーで開催中の開館記念「オラファー・エリアソン展:相互に繫がりあう瞬間が協和する周期」を観てきました。まずは作品をご覧いただきましょう。



《蛍の生物圏》(マグマの流星)
 複雑な形状をした多面体を球体が覆っています。多面体の構造物は中からライトアップされ、周囲に光と影を放っています。球体自身はゆっくりと回転しているので、ミラーボールのように光と影も移り変わります。ずっと観ていたくなる作品です。



《終わりなき研究》
 不思議な、自動書記のような機械です。台の上にセットされた紙に、振り子のような動作でペンが自動的に図を描きます。その図は1枚として同じものにはなりません。美術を描く永久機関です。



《瞬間の家》
 暗闇の中の広大な空間です。常時ストロボ光が焚かれ、一瞬だけ見えます。上からは水が撒かれていて、その水流が生き物のように、のたくる蛇のように見えるのです。

 オラファー・エリアソンは知覚に訴える作品群を作ってきました。今回の作品に共通するのは、いずれも同じ一瞬が訪れることはなく、永遠に変化と変容を続けることです。1回性のライブ、生感覚の作品ばかりなのです。どれもシンプルな仕掛けだけど驚きがあります。それは人間の生に通じるものなのかもしれません。

 なおタイトルにもなっている「相互に繫がりあう瞬間が協和する周期」は麻布台ヒルズの別棟でパブリックアートとして展示されています。そちらも忘れず鑑賞ください。

麻布台ヒルズギャラリー
「オラファー・エリアソン展」は3月31日まで開催中です。
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