現在、築地のSHUTL(シャトル)で開催中の「伝統のメタボリズム~様式の変容~」を観てきました。

 皆さんはかって銀座にあった中銀カプセルタワービルをご存知でしょうか。1970年代に黒川紀章氏が設計・竣工したカプセルタワー型の集合住宅です。惜しくも老朽化のために2022年に解体されました。そのふたつを利用して新たなスペースとして蘇ったのがSHUTLです。

 現在はオープニング企画として品川亮さんと野田ジャスミンさんを紹介する展示が行われています。

 お二人には申し訳ないのですが、私的にはカプセルタワーの内部に入ることができたのが最大の収穫でした。



 カプセルタワービルの外観は何度も観たことがありますが、中に入るのは初めてです。

 実際に入った感想を一言でいえば、とっても狭いビジネスホテルです。狭い空間ですが不思議と圧迫感はありません。ベッドに座ると居心地がいいのに驚かされます。それは空間自体がミニマムかつ機能的に作られているからでしょう。立って半畳寝て一畳という人間一人分のサイズから逆算されている空間なのです。利休の茶室に通じる精神性を私は感じました。



 ユニットバスや冷蔵庫などの生活に必要な設備も整っています。壁面には当時としてはおそらく最新鋭であろうオープンデッキやオーディオ、電話まで備え付けられています。

 洗濯機や炊事設備はありませんが、ここに住めといわれれば住めそうです。いや住んでみたくなりました。



 もう一室のほうは内装が取り外され、内部構造がむき出しになっています。これはこれで貴重な展示です。

 ミニマルな空間なので、なるほどアートの展示にはピッタリです。うまいことを考えたものです。

SHUTL
「伝統のメタボリズム~様式の変容~」は1月21日まで開催中です。建築関係者は必見と言っていいでしょう。
240112