前回の映画大賞に続いて、「第4回美術展大賞」を発表します。
私が今年訪れた美術展・ギャラリー展は345でした。こちらも映画同様、毎回以下の採点基準で点数をつけています。
90点・・・必見
80点・・・万人におすすめ
70点・・・その展覧会を観たい方にはおすすめ
以上の基準で採点した結果、90点を記録した展覧会は以下の4展でした。
SAI「SAIAKUNANA」
王城ビル「Chim↑Pom from Smappa!Group/ナラッキー」
ラフォーレミュージアム原宿「吉田ユニ/PLAYING CARDS」
ワタリウム美術館「梅田哲也」
この中から大賞に選ばれたのは!!!!
ワタリウム美術館
「梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」
に決定いたしました!おめでとうございます!
レビューにも書きましたが、本展は何から何まで異色の展覧会です。美術館で舞台公演をやるというのも異色ですが、それだけなら美術館のイベントでありそうです。
本展の何よりも素晴らしいところは、タイトルにもあるようにワタリウム美術館に対する愛情です。それはまた創設者である和多利さんへのオマージュでもあります。
東京のど真ん中で現代美術を披露する美術館を私設で運営するなど、並大抵のことではありません。私は開館当時から何度もワタリウム美術館を訪れていますが、あらためてその意義と歴史を、そして関係者の皆様方の労力を再認識することができました。ここで改めてワタリウム美術館関係者の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。そしてこれからもよろしくおねがいします。
実は本展を見るまでは大賞はChim↑Pom from
Smappa!Group(以下Chim↑Pomと略)の「ナラッキー」だと思っていました。
345の展覧会に行きましたが、本展は唯一、美術館やギャラリーなどの本来美術を飾る場所ではない建築物で開催された展覧会でした。そして都市や地域に根ざした活動を続けてきたChim↑Pomらしい展覧会でもありました。加えて、このような形でイベントを実現させた王城ビルのオーナー、方山さんの想いも高評価ポイントです。
多くの現代美術のアーティストを観ていますが、その中にあって、SAIAKUNANAさんの爆発的なエネルギーは格別でした。
吉田ユニさんの作品はプロフェッショナルが美学を極めるとこうなるという到達点でした。その完成度とレベルの高さは、並の現代アートを寄せ付けない水準に達していると想います。
以下は雑感を。
90点を獲得した4つの展覧会は、いずれもいわゆる美術館で著名画家や著名作品を持ってくる美術展ではありませんでした。わずかな差で次点だったのは府中市美術館の「諏訪敦/眼窩の火事」と国立新美術館「ルーブル展」でした。
ルーブル展は美術館のネームバリューに頼ることなく、「愛」という普遍的なテーマを取り上げて、誰にでもわかりやすく親しみやすい展覧会だったと思います。
美術展といえば有名な画家をとりあげるか、有名な絵画を持ってきて話題づくりと集客を図るのが、なかば常識化しています。
しかしルーブル展もそうですが、その定石に頼ることなく、取り上げ方や編集の仕方で一捻りある美術展がありました。
現在、東京ステーションギャラリーで開催中の「みちのく いとしい仏たち」が代表例でしょう。そのほか「ゴッホと静物画」展や「モネ連作と情景」展などもありました。
来年はどんな展覧会があるのでしょうか。今から楽しみです。
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