今年もこの季節がやってきました。恒例「アートのみかた映画大賞」です。恒例といいつつまだ4回めですが。

 本賞は私がこの1年で見た映画の中から大賞を選ぶというものです。もちろん何の権威もありませんのでご安心を。

 今年私が見た映画は52本。毎度見た後に点数をつけています。その基準は
90点・・・必見!
80点・・・万人におすすめ
70点・・・見たい人にはおすすめ

 というものです。自分が見てよかったかどうか、ではなく人におすすめできるかどうかが採点基準です。

 さて、その結果52本中、90点を記録した映画はだた1本だけでした。その作品とは・・・

ダラララララララ(ドラムロール)・・・ジャ~ン!

「私のしあわせな結婚」です!



 この映画に大賞を進呈いたします。おめでとうございます!

 「私のしわあせな結婚」は漫画原作の単なるアイドル映画と思われがちですが、映画的にしっかり作られていたのが高評価ポイントでした。これは監督の塚原あゆ子さんの力量と言えるでしょう。52本見ても映画的になるほど良く出来ているという作品は少ないのです。もちろん主演のお二人の熱演も忘れてはなりまません。原作を知っている方も知らない方にも老若男女におすすめできる作品だと私は思います。

 「私のしあわせな結婚」にわずか2点差で次点だったのが「市子」でした。



 映画としてのインパクトは間違いなく大賞に値すると思います。ただ内容的にあまりにも凄惨だったので、必見とするにはちょっと・・・と思ってしまいました。

続いてこれも恒例の主演女優賞は・・・・
「バカ塗りの娘」の堀田真由さんに進呈いたします!



 なんで「私のしあわせな結婚」の今田美桜さんでも、「市子」の杉咲花さんでもないのかと言われそうです。たしかにお二方とも十分主演女優賞に値する演技だったと思います。

 堀田真由さんは、そんなお二人に比べると、言ってはなんですが地味に見えるかもしれません。

 「バカ塗りの娘」自体がとても地味な映画で、映画の中でやっていることも地味だし、役柄も地味です。そんな地味づくしの映画をたんたんと演じながら、2時間もの間、観客を惹きつけるのは実は相当に難しいことだと思うのです。

 毎度主人公の優しい親友役みたいな役どころが多かった堀田真由さんですが、この秋のテレビシリーズ「たとえあなたを忘れても」でも、静かな佇まいの中に引き込まれる姿が魅力的でした。

 私はその堀田真由さんしか演じることが出来ない魅力に主演女優賞を進呈したいと思います。

 あと喪服姿の美しさは格別でした。

 以下は今年の映画界を振り返っての雑感を少し。

 洋画も邦画も、原作もの、シリーズもの、続編もの、リメイクものが多かった1年でした。私の基準は「初めて見る人にもおすすめできるかどうか」なので、どうしても続編ものは点数が少し低くなってしまいます。

 そういう意味では「ジョン・ウィック コンセクエンス」や「ワイルド・スピード ファイアーブースト」のこれでもか、という畳み掛けかたはさすがでした。制作側のとことんやるという気合の入り方が違いました。

 また拾い物の面白さだったのは「リバー流れないでよ」でした。



 非常に狭い空間の中でのワンシチュエーションコメデイなのですが、脚本と出演者がしっかりしていれば、面白いものが撮れる見本みたいな作品でした。これもまた映画的によく出来ていたのです。

 私がミーハーなせいもありますがどうしてもシネコンでかかる話題作に集中しがちでした。来年はもう少し単館にかかるような作品も見たいなと思います。
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