現在、山種美術館で開催中の特別展「癒やしの日本美術―ほのぼの若冲・なごみの土牛―」を観てきました。

 2023年もあと数日となりました。毎度のことではありますが、今年もまた激動の1年でした。1年の締めくくりに癒やしのひとときはいかがでしょうか。

 ということで、本展は「日本美術の鑑賞を通して、心が癒やされる」展覧会です。


本展ホームページより

 最初の伊藤若冲《布袋図》からして、思わず心がなごみます。まんまる、ぷくぷく、福々しさに満ちています。お腹丸出しの太鼓腹に扇を持ち、にっこり微笑んでいます。床の間に飾っておけば、運が舞い込んで来そうです。

 先日の三の丸尚蔵館で観た「動植綵絵」の緻密な絵とはまったく違う、マンガのような絵です。しかし頭や肩の薄墨ですっと引いた線の冴えはさすが若冲です。



 長沢芦雪 《菊花子犬図》では、コロコロとした子犬が9匹じゃれあっています。くんずほぐれず、ひとかたまりになっています。犬好きの人が観たら、たまらないでしょう。芦雪が犬好きであることが、観ただけでわかります。特に注目したいのは尻尾の形です。くるんと丸まっている犬、ピンと立っている犬と表情豊かです。


本展ホームページより

 奥村土牛の《兎》も、生き物好きであることがよくわかる絵です。土牛自身「生き物の目が好き」と語っています。赤くつぶらな瞳をぜひ御覧ください。

 このほか観ただけで癒やされる日本画の風景画も充実しています。ゆっくりと癒やしのひとときがすごしてはいかがでしょうか。

山種美術館
「癒やしの日本美術」は2月4日まで開催中です。
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