年の瀬も押し詰まったこの時期に、久々にズドンと重たい映画を観てしまいました。現在公開中の杉咲花さん主演の映画「市子」です。

 同棲している彼氏からプロポーズされた翌日、川辺市子は失踪してしまう。市子を探す彼氏は思いもよらない真実を知ることになる…。

 市子が生きてきた人生は壮絶凄絶です。これ以上書くとネタバレになるのでやめておきます。

 この映画の目玉は何といっても杉咲花さんです。杉咲さんといえば、脇役で出ただけで画面全部を持っていく演技力の怪物です。その杉崎さんが怪物的なキャラクター市子を演じています。怪物の二乗です。誰も勝てません。しかも杉咲さん自身が「精根尽き果てるまで心血を注いだ」役です。多少物語に難があろうがなかろうが、すべてかっさらっていく力があります。鑑賞者はただ呆然と杉咲市子に引き込まれるしかありません。そしてその脳裏には有無を言ず川辺市子=杉咲花が焼き付けられるのです。事実私自身、映画を観終わった今も市子の姿が心に刻まれています。

 昨年のちょうど同じ頃に岸井ユキノさんの「ケイコ 目を澄ませて」を観て、きっと岸井さんは主演女優賞を取りまくるだろうなと思いました。同じように今年の主演女優賞はこの「市子」の杉咲花さんが席巻するだろうと思います。
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