現在公開中の菅田将暉さん主演の映画『ミステリと言う勿れ』を観てきました。


 広島美術館を訪れた久能整は帰り際、少女に声をかけられる。彼女は遺産相続争いから自分を守って欲しいと頼むのだが・・・。

 私は女優では高畑充希さんが出てる映画には当たり外れなしと思っています。どうやら菅田将暉さんの出る映画にも当たりハズレないようです。菅田印に間違いなしです。

 原作は田村由美さんの人気漫画。私は漫画は未読ですがTVドラマは全話見ました。

 タイトルが表すように、このシリーズはミステリのようでミステリではない、人の言葉とか心理描写が見どころの映画です。自然と、というかどうしても主役の久能君のセリフが多くなります。しかも久能整というキャラクターが天然パーマで四六時中マフラーして立っているだけ、という設定なのです。つまり、ほんのわずかに見える目と口だけで、全てを説明しなければなりません。

 この難役に応えているのが菅田将暉さんです。本編では、とんでもなく長いセリフを澱みなく、かつ十分な重みで放っています。しかも、それがちっとも嫌味な感じがありません。この演技で2時間以上のドラマで惹きつけることができるのは、さすがとしか言いようがありません。

 本作を観て私が想起したのが「シャーロック」のベネディクト・カンパーパッチです。彼は誰もが知るシャーロック・ホームズを独自の力でキャラクターとして造形していました。菅田さん演じる久能くんには同等の魅力があると思います。

 映画の方はかなりの量の情報量をこなさなければならないので、一瞬も見逃せません。久能くんぐらい頭の回転が鋭く早くないと置いてかれそうです。コミックなら自分のペースで読み解けたり読め返せたりするわけですが、映画ではそうは行かないのがツライところです。その分謎解きの面白さが詰め込まれています

 ヒロイン役の原菜乃華さんは、菅田さんの相手役という難役に十分答えています。松下洸平さんや萩原利久さんといった私好みの役者さんもエッジがきいてます。特に日頃静かな役が多い萩原さんは、今回は広島弁丸出しのヤクザな役を演じていて面白いです。

 朋友なのか宿敵なのか、我路くんとの決着もまだついてないので、このシリーズまだまだ続きそうです。

 あ、あとエンドロールにもお楽しみがあるので、最後まで席をお立ちにならないように。
230920