現在、渋谷エリア一帯で開催されているピクセルアートの祭典「SHIBUYA PIXEL ART 2023 ~HAKKO~」を観てきました。といってもこのイベントは渋谷エリアの9会場で開催されています。今回観てきたのはメイン会場と思しきHAKKO Xです。原宿にある古民家で、と書かれていたので、あれ、原宿にそんな建物あったっけと思いましたが、ホントにありました。



MASARU OZAKI《Motion Sculpture》 OZAKIさんの作品は、古民家ならではの床の間を活用したインスタレーションです。床の間に飾る掛け軸の代わりにデジタルの掛け軸が置かれています。そこにあるのはデジタル化された山岳の風景です。左右にあうのは盆栽とも見てとれます。これは日本庭園に見られる借景を応用し、床の間自体を借景としているのです。デジタルの小さなモニターは掛け軸の「見立て」でもあるように思います。



重田佑介《机上の合戦図屏風》
 重田さんの作品は手のひらサイズの六曲一隻の屏風です。なんとこの屏風は6台のiPhoneです。そしてこの屏風の中では小さな小さな合戦絵巻が繰り広げられていいます。しかもこの絵の中の武者たちは実際に動いて戦っています。アニメになっているのです。



香月恵介《Colors》
 この引きのサイズで、しかもスマホで撮った写真では、それぞれがピカソやモンドリアン、蝋燭を描いた絵だとわかりますが、実際に近くで見たら何が描かれているか容易には判別できません。絵の具で小さな線を積み重ねて描かれているからです。これはアナログで描かれたデジタルの絵なのです。ご丁寧なことに右上にはカーソルマークまで描かれています。これは果たしてピクセルアートなのか。ちょっと考えさせられる作品です。

 ピクセルアートのピクセルとはコンピュータの画像描写の最小単位のことです。いわゆるドットと言うやつですね。コンピュータ映像がどんどん高精細化する中でピクセルで描かれた絵は、どこか懐かしささえ覚えます。と同時にそれは人間がどこまでがドットで、どこからが絵なのか、その境界線を行き来して、試されているようです。本展ではこの境界線上のようなアーティストの作品がこのほかにも紹介されています。
「SHIBUYA PIXEL ART 2023 ~HAKKO~」は9月24日まで開催中です。
230920