現在、天王洲アイルのWHATで開催中の『高橋龍太郎コレクション「ART de チャチャチャ-日本現代アートのDNAを探る-」展』を観てきました。

 WHATではこれまで何度か高橋氏のコレクションを展示してきました。今回のテーマは「日本」。日本の現代アートのDNAを探るという主旨で33作家、約40点の作品がセレクトされています。



岡村桂三郎《白象03-1》
 最初のスペースで紹介されているのは黒と白の世界、あるいは光と翳の世界です。岡村さんの描く巨大な白い像が暗闇の中に仄かに浮かび上がります。私が連想したのは長澤芦雪の白象図屏風です。もう一つの獅子図と合わせて見ると、もはや怪獣のようです。


杉本博司《陰翳礼賛》本展アプリより

 たまたま谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」を読み直す機会がありました。谷崎は日本独特の美として「闇」あるいは「陰」をあげています。古来より日本人はその暗さ、翳の中にこそ美を見出だしてきた、と谷崎は書いています。杉本さんはこの谷崎の著作にインスパイアされて本作を創作されました。こうして闇の中に浮かびあがる諸作品を観ていると、翳の価値に改めて気づかされます。



右:関根伸夫《神話素》
左:菅木志雄《空態化-7》本展アプリより
 SPACE5で紹介されているのは、今再評価が進んでいる「もの派」のアーティストと作品です。「もの」という名称が表しているように、作品の物質性が強調されています。「もの」であるゆえに、それらは何かのメッセージを発しているわけではないはずです。ある意味それらの「もの」は自分自身を観返す鏡なのかもしれません。


鴻池朋子《無題》本展アプリより

 巨大などくろがど真ん中に置かれた屏風絵です。このどくろは鴻池さん自身の頭蓋骨のレントゲン写真をもとに描いているそうです。鴻池さんの作品は、どの作品も圧倒的なスケールを持っています。これはある意味鴻池さんの自画像なのでしょう。

 このほかにも魅力たっぷりな作品が揃っています。あとアプリで聞ける無料の音声ガイドのナビゲーターが今回は柴咲コウさんです。ぜひスマホとイヤホンを持参してご来場ください。

WHAT
「ART de チャチャチャ」
は8月27日まで開催中です。
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