26日に横浜みなとみらいホールで開催された歌劇『サロメ』を観てきました。

 王女サロメは預言者ヨカナーンに愛を拒まれ、義父のヘロデ王に踊りの代償として、サロメの首を要求する。そしてサロメは切られたヨカナーンの首にくちづけするのだった。

 男性の私からみると、サロメは恐ろしい女、ヤバい奴です。実際、サロメは今でいう「ファム・ファタール」、つまり「悪女」あるいは「運命の女」の原型のようにいわれることもあります。男の運命を狂わす魔性の女なのです。

 一方では、王女である以上、預言者風情に蔑ろにされるのなら、打ち首はあたり前という意見もあります。またサロメはただヨカナーンへの純愛を追い求めたのだ、という見方もあります。本展でもサブタイトルは「聖女サロメの純愛」なのです。一人の女性にこれだけの見方ができるのがサロメの尽きせぬ魅力なのでしょう。

 R・シュトラウスの歌劇はこの魔性の女性の魅力を、時に妖しく時に美しく、艶やかに華やかに劇を彩ります。それはまるで上質な映画音楽のようです。サロメを演じた田崎尚美さんの熱演も含め、素晴らしいステージでした。その証拠に閉演後も5分以上に渡って拍手が続いたほどでした。
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