今年も残りあとわずかになりました。今回は記憶と記録のために、映画と美術の2022年を私なりに振り返ってみたい思います。
映画界は「ONE PIECE FILM RED」が大ヒットとなるなど興収100億を突破した作品が4作品もでて活況を呈しました。年間興収見込みも2000億を越え、コロナ禍前の水準に復活するようです。ネットフリックスなどのサブスクが人気となる一方で、これだけ映画を観に人が訪れるということは、劇場の大スクリーンで見ることに価値があるということなのでしょう。
ただその質ということになると、邦画に関しては小説や漫画を実写化した作品がほとんどで、物語的な新しさはありません。
私も何本か観ましたが、映画としての面白さを実現できているかというと疑問です。今年上位にはいった「RED」や「トップガン」「すずめの戸締まり」はいずれも、劇場映画オリジナルストーリーです。邦画は映画館でしか見れない物語、映像を創って欲しいものです。
そういう意味では「MONDAYS」や「ケイコ、目を澄ませて」などの独立系の映画に観るべきものがありました。実際これらの映画は最初単館ロードショーに近い形で公開されましたが、口コミで人気が広がり、上映館が拡がっていきました。良い映画にはちゃんと人が集まるのです。
美術展ではコレクションを見直し再提示するという展覧会が増えてきたように思います。これもコロナ禍の影響でしょう。外から有名作品を持ってきて大量動員するというビジネスモデルが成り立たなくなっているからです。その中にあって国立新美術館で開催された『メトロポリタン美術館展』や東京国立博物館の『国宝 東京国立博物館のすべて』は見どころ満載でした。特にトーハクはあっという間に券が売り切れるほどでした。
ギャラリー系ではNFTやジクレープリントで販売するものが増えてきたように思います。いずれもアートを手近に買ってもらうしくみなのでしょう。
2020年から始まったコロナ禍もようやく出口が見えてきたように思います。もちろん病原菌がなくなるわけではありませんが、今年後半は「3年ぶり」という言葉がよく聞こえてきました。少しずつ私たちの暮らしぶりにも変化が表れているように思います。来年はアートにも皆さまの暮らしにも明るい陽がさす年であって欲しいと願います。
個人的には年末に美術検定1級に合格することができました。これを機にさらに内容を充実させていきたいと思っています。
今年1年「アートのみかた」をご覧いただきありがとうございます。来年もよろしくお願いいたします。
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