人としての“たたずまい”を観る展覧会です。

 現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の高木由利子さんの写真展『Threads of Beauty 1995‐2025 ― 時をまとい、風をまとう。』を観てきました。

 高木さんは30年以上に渡って世界中の伝統的衣装を身につけた人々を撮影してきました。本展はその集大成といえる写真展です。



 暗闇の中に浮かび上がるそれらの人々の写真は、どの姿も堂々としています。顔には人生を生きてきた年輪が刻まれ、表情には誰も真似できない存在感があります。いや味がある、といったほうがいいかもしれません。なんというか「カッコいい」のです。



 今の日本ではファッションは自己の表現であったり、社会や集団への帰属を意味する記号だったりします。スタイルは流行現象という名の元に、好むと好まざるとに関わらず押し流されるように変化していきます。ファッション業界の都合によるものもあります。



 しかし高木さんが写真に写し取った人々は、そんなこととは無縁です。昔から地域で身につけられてきた衣装を受け継ぎ、何の衒いもなく、あたりまえのように着こなしています。それが彼ら彼女らの生き方そのものだからです。私達がそれらを観て「カッコいい」と思うのは、今の私達が持っていないもの、失ってしまったものを彼らがもっているからでしょう。つまりちょっぴり羨ましいのです。

Bunkamuraザ・ミュージアム
『Threads of Beauty 1995‐2025 ― 時をまとい、風をまとう。』は3月31日までです。Bunkamuraザ・ミュージアムの掉尾を飾るに相応しい展覧会です。本展が現展示室での最後の展覧会となります。無料でもありますので、ぜひ今日明日でご覧ください。
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