No.224 菜の花プロジェクト/NPO法人愛のまちエコ倶楽部さん | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

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「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

菜の花エコプロジェクトは、誰もが気軽に参加できるSDGsの取り組みの一つです

 

 

より良い世界を目指すために、2030年までに問題解決を目指して掲げられた世界的な目標『SDGs』。貧困問題、ジェンダー平等、環境問題などさまざまな課題解決のために制定された17の目標は、国や企業が取り組むべき大規模なものから、『7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに』『11:住み続けられるまちづくりを』『12:つくる責任、つかう責任』など、個人レベルで取り組めることまで広範囲に及ぶ。そんなSDGsという言葉が生まれるはるか前から、旧愛東町(現・東近江市)で始まり、今や全国に広がる地域内資源循環活動がある。

 

 

 

 この『菜の花エコプロジェクト』では、地域の放棄田や転作田を利用して菜の花を栽培し、収穫した菜種から搾った食用油を製造販売。搾油工程で出た油かすも、肥料や飼料として活用されるだけでなく、家庭で料理などに使用された油は「廃食油」として再び回収して精製処理され、自然に還る粉せっけんや軽油代替燃料にリサイクル。『食の安全』『廃棄物ゼロ』『地産地消』『地域自立』などを実現させた循環システムだ。

 

 

 これは世界的な石油危機に見舞われた1970年代のドイツで始まった菜種油のバイオ燃料化を手本としたもので、愛東地区で始まったのは1998年。2005年には、菜種栽培、菜種搾油、廃食油の回収、せっけんやBDFの精製などを一貫して行う拠点施設『あいとうエコプラザ菜の花館』も東近江市に設立された。
 菜の花エコプロジェクトは現在、滋賀県内含む全国に約100カ所に広がり、各地の地域内資源循環活動として浸透。ZERO WASTE(廃棄物ゼロ)の考え方の広まりやライフスタイルの多様化もあり、農業や移住に関心がある人からの問い合わせが増えたほか、『菜ばかり』というネーミングで販売されている菜種油も、年々売り上げを伸ばしている。

 

 

 「SDGsという言葉が生まれる前から、この町で市民と行政が一緒に取り組み、続けてきたプロジェクトだからこそ、これからの社会づくりに大きな役割を持つモデルになると思っています。SDGs(持続可能な開発目標)」と聞くと、大変難しいもののように聞こえますが、菜の花エコプロジェクトは誰もが気軽に参加できるSDGsの取り組みの一つです」と担当者。「市内の方は、使い終わった油を菜の花館にご持参いただいたら、資源としてリサイクルでき、バイオディーゼル燃料や粉せっけんに生まれ変わります。菜たね油『菜ばかり』の量り売りも、瓶入りサイズで購入するよりお買い得です。菜の花館の活動をもう少し詳しく知っていただくためにも、一度ご来館いただけたら」。

 

 菜の花エコプロジェクトの最終目標は、持続可能な地域を未来へつなぐこと。「そのためにも、エコ倶楽部の活動をより多くの方に知っていただき、個々人がこれからの暮らしの在り方を考えるきっかけになったり、空き家、後継者不足、高齢化など、地域が抱える課題解決の先駆的な地域モデルを構築したりすることが理想です。また、誰もが持続可能な暮らしを実践できる場・仲間・選択肢を提供していきたいです」。

 

 20年後、30年後の社会のために、家族のために、自分のために、今できることはなんだろう。毎日の暮らしの中でできることを考え、やってみることが、より良い未来につながるはずだ。

 

【profile】

1998年 菜の花エコプロジェクト 開始
2001年 菜の花プロジェクトネットワーク設立、菜の花サミット開催
2005年 「あいとうエコプラザ菜の花館」開館
2011年 指定管理制度で「あいとうエコプラザ菜の花館」の指定管理者に指定。 市に代わって施設の管理運営を担う。
東近江市内における「菜の花エコプロジェクト」2021年度実績
●菜の花栽培面積:16.4ha(東京ドーム約3個分)
●年間収穫量:20,972kg(年間製品量(選別後):14,948㎏)
●商品化数:菜種油『菜ばかり』141g…1706本 / 282g…785本 / 470g…1594本 /
 940g…944本 / 一斗缶…59缶(菜たね油製品量…3,381kg)

現在、愛のまちエコ倶楽部に在籍するスタッフ6人のうち、5人が県外出身者で構成されている。