No.220 総合格闘家/中嶋 紳乃介選手 | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

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「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

目標は
UFCチャンピオン。
いまはその通過点を
歩いているだけ。

 2021年8月に、2021年WOFC世界バンタム級チャンピオンとなった総合格闘家、中嶋紳乃介選手。幕張ベイパークアリーナで行われる『GRACHAN51』を翌週に控えた12月中旬、中嶋選手がコーチを勤める大津市内のジムを訪ねた。

 

 小学生の頃、大晦日に放送されていた人気格闘技番組『PRIDE』に夢中だった一人の男の子が、総合格闘技を始めたのは高校3年の夏。小学生の頃から続けていた野球を「誰かのせいで勝負が決まることに、いまいち馴染めなかった」まま、引退した直後だった。

 

格闘技は全くの初心者だったが、ジムでの相手はプロばかり。「めちゃくちゃにやられながらも、いろいろと教えてもらえました。あのときの記憶があるから、今どんなに強い相手でも、(あのときの人よりマシ)と思えてしまいます」。

 

 どんな結果になっても、言い訳がきかないという格闘技の潔さに惹かれた。しかも総合格闘技は、レスリング、ボクシング、キックボクシングなどのさまざまな要素を融合させたスポーツ。とくに、「倒れてからが勝負」といわれるほど、最後まで勝負がわからない面白さもある。

 

「師匠の松並修先生(1995年フリースタイルレスリング全英選手権68kg級5位)が仰るには、総合格闘技は動きながら先を読む『ボディチェス』。相手によって戦略をたてる面白さも魅力ですね。自分も相手のテンポを狂わすような頭脳戦が好きで、試合中も笑っているので、よくレフリーに怒られます(笑)」。

 

 自身のプレイスタイルは「持ち味がないのが持ち味」と自己分析する中嶋選手。「自分は「オールB」。大きく秀でているところがない分、相手に合わせていろんな攻め方ができます」。

 

 朝に1時間半、昼から2時間、夕方から2〜3時間の練習が日課。1日6食、定食風の食事を食べても体重が増えないという練習量だ。減量中もスタミナがキープできるように、1日3食しっかり摂って練習力を増やしている。

 

 「格闘技を始めた頃は、必死に汗かいて練習している自分がいちばん頑張ってると思っていましたが、続けるうちに、みんな紙一重で競り合っているのがわかるようになって、相手選手のことや、全然違う仕事に就いている人のことも、すべてをリスペクトするようになりました」。

 

 選手として活動する傍ら、大津市内などでパーソナルトレーニングジムを経営し、小学生から60歳代の女性まで指導も行う。「トレーニング中にいろんな話を聞くのが好きですね。小学生は自分の意思で来た子が少ないので、サボりたい気持ちもすごくわかる。でも今頑張れば、後で後悔しないこともわかっているだけに、やる気を出させるのが難しいですね」と、試合では冷静なチャンプも苦笑いだ。

 

 選手としての目標は、世界中のファイターが集う究極の総合格闘技団体『UFC』でチャンピオンになること。今はその通過点をゆっくり歩んでいる感じと語る。

 

「松並先生は白血病を克服された今も、僕よりもまだまだ強い。55歳になる5年後まで僕のスパーリングを続けるのが先生の目標らしいので、僕もまだまだやなと思っています(笑)」。

 

【profile】
中嶋紳乃介さん
1992年 大津市生まれ
高校3年より総合格闘技を習い始める。
2012年より現役。
2021年 WOFC世界バンタム級チャンピオン
これまでの戦績18戦15勝
パーソナルトレーニングジム
「皇子山MMA」 代表
大津市在住