造形作家 山内 鈴花 FILE No.74 ART STYLE | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

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「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

作品の意味を聞かれると、うまく言葉にはできないです(笑)。

 

 鉄を素材にした、オブジェやモビールと呼ばれる空間の作品を手掛けている山内鈴花さん。子どもの頃からモノを作るのが大好きで、将来はモノづくりをしながら暮らしていきたいとすでに決めていたとか。
「昔も今もあんまり深く考えていないんですけど(笑)、私の作ったものを不思議そうに眺めている人や、ちょっと触ったりしている人をみると最高にうれしいですね」。


子どもの頃に抱いた気持ちのままに、高校卒業後は成安造形大学に入学。そこで彫刻作家の本郷重彦さんに出会ったことで、さらにモノづくりの楽しさを知ったとか。
「大学時代に現代美術を学んだことで、モノづくりは実用性のある工芸品だけでなく、もっと自由に、もっと好きなように表現する作品があってもいいということを知りました」。


卒業後は大学で3年間助手を努めたあと、造形作家として独立。現在は大津市伊香立の山中にアトリエを構えている。作品は鉄を中心としたオブジェや、動かすことのできるモビールと呼ばれる作品が中心。確かに、何のためにある?と問われれば「特に意味はないです」と答えるしかない作品も多い。
「言葉では説明しにくいんですけど、意味はないけど、あると楽しいとか、あると何かを感じる。そんなモノがあってもいいんじゃないかと」。


今から10年以上前、石川県で行われた野外での作品展に出展した時のこと。街角に設置された彼女の作品を見たお婆さんが「ココがもっとまっすぐ、シュッとなってたらかっこええのになぁ」と言っているのを聞いた山内さん。
「自分の作ったモノを、すごく率直に批評されて、また感想を聞かせてもらえて、本当にうれしかったです。難しいと言われがちな現代美術に興味を持たれて、何かを感じてもらえたのが、忘れられません」。

それから数年後、山内さんは、年齢や性別、経験のあるなしに関わらず多くの人とモノづくりの楽しさを共有したいと、恩師である本郷さんと南草津でカルチャーセンターを開設。
鉄を素材にした作品づくり(鍛造・板金)の講師を努めることに。
「思ってた以上に多くの方に参加して頂いて、会員さんは60名ほどいらっしゃいます。みなさん自由に、気負いなく作品を作っていて、その姿を見て、逆にこちらが勉強させて貰ってます」。


モノづくりとは本来、自由で楽しいもの。子どもの頃に感じた原点を、今も、これからも大事にしたいという山内さん。ビジネスで考えれば、けっして儲かる仕事ではないという日々の創作活動だが、彼女に迷いや愚痴はない。
「当り前ですが、自分のやりたいことをやる以上は、苦しいことも楽しいことも、すべてに納得しています。だから何も文句はないです。これからも自分の思い描いた世界を作れるよう、技術をもっと身につけていきたいですね」。
自分のやりたいことを日々淡々と追い求めていく。

そこで起こるすべてに納得しながら。自然体で語る彼女の笑顔は、とても幸せに見えた。

 

【プロフィール】
 1975  京都生まれ
1994 成安造形大学入学
1996 Art Festival in TURUGI'96(石川)
1997 Art Festival in TURUGI'97(石川)
2000 個展(Gallery射手座 京都)
2001 個展 (Gallery射手座 京都)
2004   個展(GALERIA la escena 名古屋)
2008 かんじる比良(Gallery skog 滋賀)


アトリエ
滋賀県大津市伊香立南庄字金追田1919
suzu-util@rio.odn.ne.jp


カルチャーセンター『鉄工房Naldic』
http://www.naldic.co.jp/contents/instructor.html