マット・デーモンが出ているので映画「グレートウォール」をTSUTAYAで借りた。
彼の映画はCGとか奇想天外な動きがなくて、生身のアクションが血の通った温かみと普通のお兄さん的なのがいい。
そして、普通は、中国映画は三国志などの戦国ものや、清のラストエンペラーや
西遊記や少林寺などほとんど見ないのだが…
この「グレートウォール」は黒色火薬を求めてヨーロッパから来た傭兵の物語である。
主演のマット・デーモンと相棒はドンキホーテとサンチョパンサ的でもあるし、西部劇のガンマンといったルックス。
この映画を面白くし、自由自在に創造的な表現を見せるエンターテーメントを織り込んだ演出を
監督チャン・イー・モウが仕掛けていることだ。
中国の観光地で知られる、最近話題の東洋のグランドキャニオン/
張掖丹霞地貌がロケ地であろうか、山肌がオレンジ色を基調にした
バウムクーヘンのように色の帯が縫う山並みと
タクラマカン砂漠かといった枯れた川底を馬で走るなどロードムービーの展開。
圧巻なのは、饕餮(とうてつ)の襲来である。
SFの怪獣の正視できない開いた口のあまりの醜い顔や頭部の模様といい、
巨大な生き物が、ノミのように軽々と何十mも飛躍する敏捷さと攻撃性は見るたびに
恐怖で兵士とは言えども足が竦む。
それに対し、万里の長城ならぬ、目のくらむ万里の高城に
バンジョージャンプのような美しい飛翔を見せる死をも恐れない女性兵士や
城壁のスリットから巨大草刈り鋸を回天させて登ってくる怪物・饕餮(とうてつ)を切る、
奇想天外な展開。
黒色火薬の爆弾やら天灯(エアバルーン、スカイランタン)で
空中攻撃を加えることもする。
ともかく歴史や史実のあるものないもの総動員して、
500名以上のエキストラをフルに動員して迫真のエンターテイメントに仕上げ、
一大活劇となっている。
中国人の監督・張芸謀(チャン イーモウ)のハリウッドを越えるような創造性を物量のすさまじさ、
そして、マット・デイモンという異次元の組み合わせが意図を何段階をも飛躍させている。