今年開館50周年を迎えるSOMPO美術館で、
この夏開催されているのは、“開館50周年記念 山口華楊展”。
京都画壇を代表する日本画家の一人、
山口華楊(1899~1984)の東京では実に27年ぶりとなる回顧展です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
意外にも、SOMPO美術館において、
日本画家の個展が開催されるのは、開館以来今回が初めてなのだとか。


実は、SOMPO美術館は華楊の初期、中期、
そして、後期を代表する作品をそれぞれ収蔵しています。
本展の冒頭を飾るのは、そのうちの初期作。
早熟の天才と謳われた華楊が22歳の時に描いた《葉桜》です。
《葉桜》 1921年 絹本彩色 167.4×271.5cm SOMPO美術館
師匠の西村五雲より、徹底的に写生を叩き込まれたという華楊。
生涯にわたって一貫して、何よりも写生を大切にしました。
この《葉桜》も当然ながら、写生に写生を重ねて描かれたものです。
ところでよく見ると、木の幹の近くにヘビが描かれています。
華楊曰く、京都の知恩院の近くでこのヘビを見つけたのだそう。
写生をしたいと思ったものの、手元には絵の道具がありません。
そこで、手ぬぐいで捕まえて家に持ち帰り、
家の柱にヘビを縛り付けて写生したのだそうです。
まさか、そんな目に遭うだなんて。
ヘビも予想していなかったことでしょう。
なお、本展では京都府が所蔵する《葉桜》の大下絵も出展されています。
2点が並んで展示されるのは、おそらく史上初の機会とのこと。
さすがは開館50周年記念の展覧会です!
さて、本展には他にも、東京国立近代美術館や日本芸術院、
京都市美術館など日本各地から華楊の代表作が大集結しています。
それらの中には、第5回日展に出展された《日向》や、
《日向》 1949年 紙本彩色 130.0×116.5cm 京都国立近代美術館
華楊が立ち上げた晨鳥社の記念すべき第1回出展作も。
《犢(こうし)》 1941年 紙本彩色 143.2×157.3cm 京都市立芸術大学芸術資料館
さらには、華楊の重要作を多く所蔵することでも知られる、
諏訪市にある北澤美術館でも人気の高い《秋晴》も出展されていました。
《秋晴(しゅうせい)》 1976年 紙本彩色 50.5×73.5cm 北澤美術館
©Kitazawa Museum of Art
菱田春草の重要文化財《黒き猫》をオマージュしたと思われますが、
《黒き猫》の猫よりも、クリクリとした瞳で人懐っこい印象を受けます。
思わず撫でたくなるモフモフさです。
そんな《秋晴》の猫も抜群に可愛かったですが、
小下絵を貼り交ぜ、屏風に仕立てたものも妙な可愛さがありました。
《小下絵貼り交ぜ屏風》 1947-81年頃 紙、鉛筆、色鉛筆、パステル、顔料ほか
169.0×370.2cm 京都国立近代美術館
と、それはさておきまして。
本展のハイライトというべきは、やはりSOMPO美術館が収蔵する《幻化》。
華楊晩年の傑作の一つです。
《幻化(げんげ)》 1979年 紙本彩色 155.7×171.1cm SOMPO美術館
タイトルの「幻化」とは、仏教用語で、
「すべてのものに実体はない」の意とのこと。
二匹の狐が弧を描くさまは、輪廻を表しているのかもしれません。
しばらく見つめていると、狐が動き出したように感じられました。
まるで白昼夢を観ているような。
まさに狐につままれたような気分になりました。
ちなみに。
華楊が亡くなる2年前、82歳の時に、
パリのチェルヌスキ美術館で大規模な個展が開催されています。
その際にも、“偉大なる現代の動物画家”と称されそうですが、
華楊自身は、「動物画家」と呼ばれることに抵抗を持っていたそうです。
あくまで自然を描いているつもりであって、「花鳥画家」を自認していました。
本展では、そんな花鳥画家・山口華楊を紹介するコーナーも。
それらの中には、ヒマワリをモチーフにした作品もありました。
SOMPO美術館のブランドメッセージといえば、「この街には《ひまわり》がある。」
今年の夏、この街には、ゴッホと華楊2人のひまわりがあります。
┃会期:2026年7月11日(土)~ 8月30日(日)
┃会場:SOMPO美術館
┃https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2025/yamaguchikayo/
~読者の皆様へのプレゼント~
“山口華楊展”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は8月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。












