INFINITY-SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトンでは、

ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルの展覧会が開催されていますが。

エスパス ルイ・ヴィトン大阪では今、

「世界のクサマ」こと草間彌生さんによる展覧会、

“INFINITY-SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION”が開催されています。

 

 

 

コラボのコレクションを何度も発表したり、

ショーウィンドウに草間さんそっくりなロボットが飾られたり、

パリ本店と同じくらいのサイズの巨大な人形が作られたり。

ルイ・ヴィトンと草間彌生さんは、深い関係にあります。

実は、パリにあるルイ・ヴィトンによる財団の美術館、

フォンダシオン ルイ・ヴィトンにも、初期の作品から近年まで、

草間さんの作品が数多くコレクションされているようで。

本展はその選りすぐりの数々が日本初公開されています。

 

会場に入ってまず目に飛び込んでくるのは、

草間さん初期からの代表的シリーズ「無限の網」。

その2010年ver.の《無限の網(DHPP)》です。

 

 

 

NYで活動し始めた1958年頃の「無限の網」は、

文字通り、網目が画面をびっしりと覆い尽くしていましたが。

それから50年以上も経つと、もはや網目が網目でなくなっています。

目があまりにも小さいため、引きで観るとオレンジ一色に感じられました。

なお、目を凝らしてみてもわかりませんでしたが、地は紫色で塗られているそう。

ここまで執拗に埋め尽くすだなんて。

草間さんは紫色に何か恨みのようなものでもあるのかもしれません。

 

続いて展示されていたのは、1990年作の《ドッツ》です。

 

 

 

草間さんといえば、ドット。

ドットといえば、草間さん。

これまでに数えきれないほど、

草間さんのドット作品を目にしてきましたが、

この《ドッツ》は過去に観たことないタイプのドット作品でした。

いわゆる草間さんのドット作品は、本能的な印象なのですが、

この《ドッツ》は、ファンシーで理知的な印象がすると言いましょうか。

精神的に「ウッ・・・」と来ることはなく、ずっと観ていられそうな作品でした。

 

そんな《ドッツ》の隣に展示されていたのが、

NYでパフォーマンスを発表していた頃の前、1964年作の作品です。

草間さんといえば、代表的なモチーフである、

無限の網やドットを増殖させることでお馴染みですが。

それらを発表する前は・・・・・

 

 

 

足を増殖させていたようです。

しかも、左足だけ。

初めて目にする作品だったので、

一周回って、新鮮に感じられました。

正直なところ、草間さんのグッズは、

もう出尽くしたような気がしていましたが、

この《無題(足)》をモチーフにしたら、売れそうな気がします。

モチーフは足なのに、ハンカチにしてみるとか?

 

本展に出展されている作品の中で、最も多くを占めるのは、

近年取り組んでいる絵画シリーズ「毎日愛について祈っている」。

 

 

 

このシリーズは紹介される機会も多いため、

サラッと流し見してしまいそうになりましたが、

よく見れば、草間さん直筆の言葉が書かれていました。

 

 

 

何て書いてあるのか。

もっと近づいてみます。

 

 

 

深い言葉が書いてあるのかと思ったら、

なんか告知文みたいなのが書かれていました。

わが道を行く前衛芸術家というイメージが強いですが、

たまには草間さんもこのように番宣もちゃんとするのですね。

良くも悪くも、意外な一面を知ることができました(笑)。

星

 

 

ちなみに。

本展のラストで紹介されていたのは、鏡を使ったインスタレーション作品。

《無限の鏡の間-ファルスの原野(またはフロアーショー)》です。

 

 

 

ドットで覆われた無数のソフトスカルプチュアが、

壁と天井を覆う鏡により、無限に増幅しています。

このスタイルの草間さんのインスタレーションは、

よく日本各地の美術館や展覧会などで発表されているため、

“あぁ、またいつものヤツか・・・”と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが。

実はこの《無限の鏡の間-ファルスの原野(またはフロアーショー)》は、

渡米中の草間さんが1965年にNYのリチャード・カステラーニ画廊で発表したもの。

「無限の鏡の間」シリーズの原点となる重要な作品なのです。

 

 

 

今ではすっかり見慣れてしまい、驚きはほぼないですが。

改めて考えるに、この作品が今から60年近くも前に、

発表されていたのかと思うと、その先進性に驚かされました。

当たり前ですが、当時は3D映像やプロジェクションマッピングもない時代、

NYの人々がこのインスタレーションを初体験した際は、さぞ衝撃的だったはず。

おそらく「クサマサ~ン」と熱狂したことでしょう。

 

 

 

 

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