SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

高須咲恵さん、松下徹さん、西広太志さんの3人を中心に、

公共空間や路上を舞台としたプロジェクトを展開するアートチーム、SIDE CORE。

その個展“SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット”が、

先日、東京・外苑前のワタリウム美術館で開幕しました。

 

 

 

2012年より活動を開始し、ここ近年は、

国内外の主要な芸術祭に引っ張りだこのSIDE CORE。

しかし、意外にも美術館での個展は、今回が初めてなのだとか。

 

受付を済ませ、エレベーターに乗り込み、

2階に上がると、まず目に飛び込んできたのは・・・・・

 

 

 

オレンジ色の光に包まれた光景でした。

こちらは、新作の《モノトーン・サンセット》というインスタレーション作品。

空間を照らしているのは、かつては街路灯や、

トンネルに多く使用されていたというナトリウムランプ。

LEDランプなどに取って代わられ、

今ではすっかり目にする機会がなくなりました。

それだけに、久しぶりにこの色の光を見て、妙に懐かしい気持ちになりました。

そういえば、このオレンジ色の光の下では、

どんな色彩も、モノクロームに見えてしまいましたっけ。

火災報知器の赤色も、ご覧の通りでした↓

 

 

 

さて、懐かしい光(?)と言えば、こんな作品も。

 

 

 

LEDに切り替わる前の車のヘッドライトを素材にした作品。

その名も、《夜の息》です。

こちらもやはり、目にした瞬間に、妙に懐かしい気持ちになりました。

あと、TM NETWORKの『Get Wild』や、

ドリカムの『未来予想図II』が脳内で勝手に再生されました。

 

さて、そんな《夜の息》の対面に設置されていたのは、《東京の通り》という作品。

 

 

 

こちらは、工事現場で見られるピクトグラムや、

注意書きのフォントを壁一面にコラージュしたもの。

《夜の息》のヘッドライトの光に照らされ、キラキラと反射しています。

実は、工事現場の看板には、標準規格がないそうで。

見比べてみることで、微妙に違いがあることがわかりました。

なお、この作品は壁の両面で展開されており、

しかも、壁自体がグルグルとゆっくり回転しています。

 

 

 

壁が回ることに、何の意味があるのか。

おそらく、深い意味はないのだと思われます。

回らないよりは回っていた方が、面白い。

たぶんそんな単純な理由で、いつもより余計に回しているのでしょう。

 

さてさて、展覧会では他にも、

煤まみれのトンネル内で、壁に肩を擦り続けるだけの映像作品や、

 

 

 

都市の様々な地下空間をスケーターが滑走する姿を映した、

映像インスタレーション作品《under city(ver.2024)》などが紹介されています。

 

 

 

これらも含めて、SIDE COREの作品は、

いい意味で、都市に対する批評性が感じられませんでした。

都市や公共空間をテーマにする作家の作品はたいていの場合、

都市に対するアンチテーゼのようなものが含まれている気がします。

しかし、SIDE COREは、作品を通じて、

社会に何か一言を申してやろうというわけではなく。

身の回りに工事現場の看板があるから、それを素材にしているだけであって。

身の回りにトンネルや地下空間があるから、そこを舞台にしているだけであって。

自然豊かな環境で活動しているアーティストが、

天然の素材で作品を制作したり、自然の景色を描いたりするのと、

そこまで大きな違いが無いような印象を受けました。

 

都市での生活をありのままに受け入れて、

そこにあるものを使って面白いものを作ってみる、

あるいは、面白いことをしてみる。

それが、SIDE COREです。

星星

 

 

さてさて、本展の出展作品の中で、特に印象に残っているのは、

吹き抜け空間に設置された《コンピューターとブルドーザーの為の時間》

 

 

 

この鉄パイプ製のジェットコースターのレールのようなものに、

一定時間ごとに球が投入され、転がり落ちていくという作品です。

 

 

 

パイプの内部を転がる球そのものは見えないのですが、

思った以上に反響音が大きいので、大体の位置はわかります。

それゆえ、音が鳴り響くたびに、気になってしまい、

つい球の姿を目で・・・いや、耳で追ってしまいました。

 

 

ちなみに。

作品は館内だけでなく、美術館の外にも展示されています。

ネズミをモチーフとした、その名もズバリ《ねずみくん》が、

美術館の外から、ひっそりと来館者のほうを監視していました。

 

 

 

彼と目が合った瞬間、マジで心臓が止まるかと思いました。

 

 

 

 

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