日常アップデート | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

東京都渋谷公園通りギャラリーでは、現在、

“日常アップデート”という展覧会が開催されています。

 

 

 

テーマはズバリ、「日常」。

参加アーティストの作品を通じて、

日常を新たな視点で捉えなおそうという展覧会です。

・・・・・と言われても、わかるようなわからないような。

 

例えば、本展では、大阪にある知的障がい者の生活介護施設、

アトリエコーナスに通う土谷紘加さんの作品が紹介されていました。

 

 

 

これからのカラフルな作品の正体は、アイロンビーズ。

アイロンの熱で溶かして、簡単に接着できるあのアイロンビーズです。

 

 

 

アイロンビーズというと、一般的には、

ドット絵のようなものが作られがちですが。

土屋さんの手にかかると、独特の造形物へと生まれ変わります。

ファミコン時代のバグの画面のようなものもあれば、

何かしらの生命体の細胞の塊のようなものもありました。

 

また例えば、本展では、埼玉県にある障害者福祉施設、

工房集に属する関口忠司さんの作品も紹介されています。

 

 

 

関口さんは、日常の生活の中でパッと耳に残った言葉や、

テレビで耳にした言葉などを、日々書き連ねているのだそう。

相田みつをや、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーよりも、柔らかさのある字。

そんな字体で書かれた「アウトロー」が個人的にはツボでした。

 

 

さてさて、今回の展覧会も、

過去の東京都渋谷公園通りギャラリーでと同様に、

アール・ブリュットの作家にフォーカスしたものかと思いきや。

 

 

 

まず、コンピュータ内に仮想の理想郷を立ち上げ、

その世界で目にすることのできる風景を絵画として描く原田郁さんをはじめ、

現代アート界で活躍するアーティストたちも参戦していました。

 

それらのメンバーの中には、

第16回 shiseido art eggに選出されたユ・ソラさんも。

 

 

 

ユ・ソラさんは、日常の何気ないアイテムをモチーフに、

白い布に黒い糸で絵を描くように刺繍して作品を制作するアーティストです。

 

 

 

といっても、実際のアイテムを白い布で覆っているわけではなく、

プラ板を使って、実寸大で再現し、それを白い布で覆い隠しているのだそう。

なお、黒い糸は、あえて仕上げの処理をしていないのだとか。

 

 

 

 

つまり、もし、この黒い糸を引っ張ってしまったら、

この作品から黒い糸は取れ、白だけが残ることになるのです。

皆さま、絶対に黒い糸を引っ張りませんように。

(↑そういうフリじゃないですからね!)

 

ちなみに。

本をモチーフにしたユ・ソラさんの作品も数点ありました。

 

 

 

モチーフとなっている本は、

おそらく、ユ・ソラさんの私物なのでしょう。

まさかの滝沢カレンの料理本『カレンの台所』でした。

それと、タイトルがめちゃ気になったのは、

『死にたいけどトッポッキは食べたい 2』です。

調べてみたら、韓国で40万部を超えた大ヒット作でした。

ちょっと読んでみたい気がします。

あと、なかなかのパワーワードなので、

関口さんに書で書いてほしい気もします。

星

 

 

ちなみに。

本展でもっとも印象に残った作家は、

やはり何と言っても、飯川雄大さんでしょう。

飯川さんと言えば、一昨年、

彫刻の森美術館を舞台に、好き放題やっていましたが。。

 

 

 

今回の展覧会でも、いい意味で、好き放題やっていました。

その最たる例ともいえるのが、《デコレータークラブ―新しい観客》という作品。

 

 

 

展示室内に何気な~く、

何気な~いバッグが置かれています。

見た目は何の変哲もないバッグですが、

持ってみると、予想を裏切るくらいに重いです。

キャリーがあるとはいえ、運ぶのは容易ではありません。

さて、本展の開催期間中、別の場所でも、

飯川さんの展覧会が開催されているようです。

もし、「他の会場に運べそう!」と思った方は、

借用書に必要事項を記入後、実際にバッグを3週間以内に運んでください。

別会場にバッグが無事引き渡されたら、この参加型の作品は終了となるそうです。

 

ところで、その気になる別会場ですが。

7月7日までは、三宿のCAPSULEで個展が行われていました。

また、8月9日から31日までは、

神宮前のLIVE ART GALLERYで新たな個展が開催されるようです。

その2か所は、頑張れば行けそうな気もします。

(↑いや、冷静に考えたら、なぜ頑張らなければならないのか??)

問題は残りの2会場。

1つは鳥取県立博物館、そして、もう1つは高松市美術館です。

絶対、無理でしょ(笑)。

 

 

というわけで。

《デコレータークラブ―新しい観客》は、

現実的に考えて、参加するのは難しいですが、

他の2作品に関しては、もっと気軽に参加することができます。

 

 

 

壁から飛び出た赤いロープを引っ張るだけ。

あるいは、ハンドルを回すだけです。

そうすることで、何かが起こります。

でも、何が起こっているのか、

アクションを起こしている本人にはわかりません。

それが、この作品のミソです。

なお、ギャラリーのスタッフさんは、

何が起きているのかを教えてはいけないことになっているそう。

時間はある程度かかったものの、僕は何とか自力で答えを導き出しました。

できれば、これから行かれる皆様にも自力で正解して頂きたい。

その際のスッキリ感は格別なので。

ただ、どうしてもわからないという方のために、

もしくは、期間中訪れられないだろうという方のために、

この後、ほぼネタバレのようなヒント写真を掲載します。

どうしても気になる方だけ、スクロールしてご覧くださいませ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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