古美術かぞえうた-名前に数字がある作品- | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

日本美術は敷居が高い。

さらに、古美術になるともっと敷居が高い。

そんな負のイメージを払しょくさせるべく、根津美術館では、

“はじめての古美術鑑賞”シリーズが不定期で開催されてきました。

現在、根津美術館で開催されている展覧会、

“古美術かぞえうた-名前に数字がある作品-”は、その派生版ともいえるもの。

根津美術館の収蔵品を中心に、作品名に数字が入っている古美術を紹介する展覧会です。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 


普段あまり意識することはなかったですが、

こうして注目してみると、意外と作品名に数字は入っているようで。

例えば、こちらは景徳鎮の《染付二匹鯉香合》

 

《染付二匹鯉香合》 景徳鎮窯 1合 中国・清時代 19世紀 根津美術館蔵

 

 

パッと見、フグかと思いましたが、

作品名に二匹の鯉とあることで、間違えずに済みました(←?)。

 

また例えば、《三猿釜》

 

《三猿釜》 1口 鉄 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵

 

 

こちらも作品名のおかげで、

三匹の猿の存在に気が付くことができました。

改めて、作品名って大事なのですね。

星星

 

 

他にも、《宣房本三十六歌仙絵断簡 源公忠》や、

 

《宣房本三十六歌仙絵断簡 源公忠》 1幅 紙本着色 日本・鎌倉時代 14世紀 根津美術館蔵 植村和堂氏寄贈 

 

 

《阿弥陀二十五菩薩来迎図》《釈迦十六羅漢像》

 

 

左)《阿弥陀二十五菩薩来迎図》 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 14世紀

右)《釈迦三尊十六羅漢像》 1幅 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀 いずれも根津美術館蔵

 

 

さらには、百万塔》など、

 

《百万塔》 2基 木造彩色 日本・奈良時代 8世紀 根津美術館蔵

 

 

古美術、特に仏教美術の作品名にはたくさんの数字が使われているようです。

仏教美術以外で作品名に数字が登場しがちだったのがやきものでした。

《染付山水文角水注》に、

 

《染付山水文六角水注》 景徳鎮窯 1口 中国・明時代 16世紀 根津美術館蔵

 

 

《色絵椿菊牡丹文角鉢》に、

 

《色絵椿菊牡丹文十角鉢》 肥前 1口 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵 山本正之氏寄贈

 

 

《色絵束柴紅葉文十二角皿》に、

 

《色絵束柴紅葉文十二角皿》 肥前 1枚 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵 山本正之氏寄贈

 

 

その形状が多角形であれば、

作品名に数字が組み込まれがちなようです。

なお、中でも多くを占めるのは、六角や八角とのことですが、

本展では珍しい例として、三角形の香炉が紹介されていました。

 

《染付塗分三角香炉》 肥前 1口 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 山本正之氏寄贈

 

 

やきものに三角形が少ないのは、

角が鋭角になるため、割れやすいため。

とはいえ、この香炉は、

いわゆるルーローの三角形となっているので、

強度に関する心配はなさそうです。

 

それからもう一つ珍しいところでは、

十一角形のお皿も紹介されていました。

 

《染付波文十一角皿》 肥前 5枚 日本・江戸時代 17~18世紀 根津美術館蔵 山本正之氏寄贈

 

 

十角形でも十二角形でもなく、十一角形。

スゴい技術だとは思いますが、

なんでまた、こんな中途半端なものを作ったのか。

数字に着目したこの展覧会でなければ、

このお皿が、日の目が当たることはなかったでしょう。

 

さて、そんな十一角形のお皿以外にも、

本展だからこそフィーチャーされたであろう作品は、多々ありました。

その中で個人的に一番印象に残っているのが、こちらの書。

 

一渓宗什筆(絵 狩野常信筆)《夢一字》 1幅 紙本墨書・墨画 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 小林中氏寄贈

 

 

目に飛び込んできた瞬間、思わず、

通販でお馴染みのあのグループが頭をよぎりました。

最近、元部長が背任容疑で逮捕されたあのグループです。

 

それから、もう一つ印象的だったのが、《染付一閑人火入》

 

《染付一閑人火入》 景徳鎮窯 1口 中国・明時代 17世紀 根津美術館蔵

 

 

人と入れ物が一体になっているその姿を見て、思わず、

人と一体になっている風呂場の石鹸置きが頭をよぎりました。

 

 

 

なお、《染付一閑人火入》を別のアングルから見ると、こんな感じ。

 

 

 

中を覗くのに必死か、お前は!

 

 

ちなみに。

本展のタイトルに、“かぞえうた”とありますが、一部の作品に、

担当学芸員さん作詞によるオリジナルかぞえうたが添えられていました。

 

 

 

元ネタは、こちらの『かぞえうた』なのだそう。

 

 

 

お恥ずかしながら、この曲を知らなかったので、

オリジナルかぞえうたが全然頭に入ってきませんでした(笑)

 

 

 ┃会期:2024年6月1日(土)~7月15日(月)

 ┃会場:根津美術館
 ┃https://www.nezu-muse.or.jp/

 

 

 

 

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