平山郁夫シルクロード美術館 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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山梨県北杜市。

八ヶ岳南麓標高1000mに位置する、

平山郁夫シルクロード美術館に行ってきました。

 

 

 

↑入口のある側は、こんな感じの外観で、

そこまで平山郁夫感もシルクロード感も無いですが。

建物の反対側は、ちゃんとシルクロード感を感じられるようになっています。

 

 

 

今年でちょうど開館20周年を迎える平山郁夫シルクロード美術館。

言わずと知れた日本美術界の重鎮、

平山郁夫の絵画作品を収蔵しているのはもちろんですが。

美術館のコレクションの中核をなすのが、

平山夫妻が収集したシルクロード関連の美術工芸品。

その数は、なんと約10000点にのぼります!

 

美術館に入ると、まず出迎えてくれるのが、

常設展示されているシルクロードの仏像たち。

 

 

 

それらの中で特に見逃せないのが、こちらのガンダーラ仏です。

 

 

 

国内にあるガンダーラ仏の中でも、

とりわけ美仏、イケメン仏と名高い逸品。

確かに、岡田将生に少し似ている気がします。

 

思わず二度見してしまったのが、

3~4世紀アフガニスタンの《仏陀立像》

 

 

 

右手が異様に大きかったです。

ぬーべーのように、鬼の力が封じられているのかと思いました。

あるいは、「でっかくなっちゃった」という手品を披露しているのかと思いました。

 

それから、もう一つ印象的だったのが、

7世紀パキスタンの青銅製の《仏陀立像》

 

 

 

“そんなに張り付くかね?”と、

声に出したくなるくらいに、衣服が張り付いていました。

張り付きすぎて、等高線や木目のようになっています。

往年のデヴィッド・ボウイの衣装のようにも見えます。

 

ちなみに。

これらシルクロードの仏像たちに混じって、

12世紀製の日本の《阿弥陀如来立像》も展示されています。

 

 

 

その表情は、どことなく困り顔、

もしくは、泣き顔のように見えました。

日本で見慣れない仏像たちに囲まれて、

人見知りを発揮しているのかもしれません。

 

なお、シルクロードコレクションは、

展示室4でも、常設展示されているそうで。

 

 

 

こちらの展示室では、コレクションの中でも、

選りすぐりの名品を順次入れ替えながら披露しているそうです。

僕が訪れた日には、8世紀中国の《人物騎馬俑》や、

ササン朝ペルシアのガラスの器などが紹介されていました。

 

 

 

また、美術館の常設といえば、

平山郁夫のアトリエ再現コーナーも。

 

 

 

これらはすべて生前の平山郁夫が、

鎌倉のアトリエで実際に使用していたものなのだとか。

絵具の量が、もはや画材屋レベルです。

 

さらに、アトリエ再現コーナーで見逃せないのが、こちら。

 

 

 

平山郁夫の未完の遺作です。

2010年の春の院展に向けて、

入退院を繰り返す中で、制作を進めていたものとのこと。

その生涯で、実に130回以上も、

シルクロードへ渡って、取材を重ね、

シルクロードを舞台にした作品を数多く残した平山郁夫。

その人生のラストに描いた光景が、

病室からの眺めだったという事実に、

なんだか胸が詰まるものがありました。

 

 

さてさて。

そんな平山郁夫シルクロード美術館では現在、

開館20周年を記念して、“平山郁夫―仏教伝来と旅の軌跡”が開催されています。

 

 

 

この展覧会についてご紹介したいところですが、

前段が長くなってしまったため、今日の記事はここまで。

展覧会については、明日改めてご紹介しようと思います。

 

ということで。

最後にもう1点だけ、どうしても個人的に気になってしまった、

シルクロードコレクションの展示品をご紹介して、今日はお別れいたしましょう。

新彊ウイグル自治区のクムトラ千仏洞から出土した《菩薩像頭部》です。

 

 

 

シルクロードの塚本高史。

 

 

 

 

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