ライトアップ木島櫻谷−四季連作大屏風と沁みる「生写し」 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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昨年に引き続き、今年も泉屋博古館東京にて、

近代京都の日本画家・木島櫻谷にスポットを当てた展覧会が開催されています。

泉屋博古館東京での木島櫻谷の展覧会は、実に1年ぶり4度目。

甲子園の常連校みたいな存在になっています(←?)。

 

ちなみに。

4度目となる今回の木島櫻谷展のタイトルは、

“ライトアップ木島櫻谷−四季連作大屏風と沁みる「生写し」”

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

タイトルに「ライトアップ」とはありますが、

イルミネーションのように、物理的に光らせているわけではなく、

櫻谷の“生写し”表現の特質をライトアップするという意味合いだそうです。

星星

 

 

展覧会は全3章仕立てとなっています。

まず第1章は、「四季連作屏風のパノラマ空間へ、ようこそ。」

大阪・茶臼山にあった住友家本邸のために、

櫻谷が2年の歳月をかけて制作したという金屏風、

《四季連作大屏風》の四双すべてが一堂に会しています。

 

 

 

展示室1室が、縦180㎝×幅720㎝超えの、

巨大な金屏風の数々で埋め尽くされた光景は圧巻も圧巻!

右を見てもゴールド、左を見てもゴールド。

まるで極楽浄土のようでした。

 

 

 

四双ある屏風のうち、《燕子花図》が、

とりわけストレートに琳派のスタイルを取り入れていますが。

 

 

 

ただ、尾形光琳の国宝の《燕子花図》を、

そっくりそのまま真似て描いているわけでは決してなく。

 

 

 

花を定型化せず、1つ1つ描き分けていたり、

西洋画のように、あえて絵具を盛り上げていたり、

と、櫻谷ならではの創意工夫が随所に見て取れます。

 

これからの季節に相応しい《柳桜図》も・・・・・

 

 

 

近づいて観てみると、やはり絵の具が盛り上がっていました。

 

 

 

普通に描くだけでも大変でしょうに。

さぞかし根気が必要な制作だったことでしょう。

 

 

続く第2章は、「『写生派』先人絵師たちと櫻谷」

こちらでは、“生写し”という写生の表現を、

日本画に取り入れた円山応挙とその門下である円山派の絵師と、

そこから派生した四条派の絵師、あわせて円山四条派の作品が紹介されています。

誤解を恐れずに言うのならば、円山派は、

筆数を増やすことで緻密な描写を目指したそう。

 

 

 

対して、四条派は筆数をあえて減らす傾向があったそうです。

 

 

 

果たして、櫻谷は円山派タイプ?それとも四条派タイプ?

円山四条派の作品と櫻谷の作品を並べて、

それを検証しようというのが、第2章の趣旨です。

なお、この章で展示されていた櫻谷作品のうちの1つが、こちら。

 

 

 

「狸の櫻谷」との異名を持つ櫻谷。

まさに、その本領が発揮された1枚です。

モフモフ感がたまりません。

この毛並みの加筆ぶりは、円山派的といえましょう。

 

 

展覧会のラストを締めくくる第3章では、

動物画の名手として知られる櫻谷の一面を、

「櫻谷の動物たち、どこかヒューマンな。」と題して紹介。

 

 

 

確かに、言われてみれば、

動物画でありながら、どこか人物画のような。

動物ながら、表情豊かな顔立ちをしています。

まるでディズニー映画のキャラクターのよう・・・・・と思ったら。

 

 

 

本展を担当した学芸員さんも、

『ライオン・キング』を思い浮かべていた模様。

美術館のキャプションで初めて、

「ムファサ」の文字を見た気がします(笑)。

 

キャプションといえば、こんなワードも登場していました。

 

 

 

美術館でも、ついに「ヤバい」が使われる時代になったようです。

いい意味で、ヤバいですね。

 

 

 

 

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