建立900年 特別展「中尊寺金色堂」 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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日本が黄金の国「ジパング」と呼ばれるようになった、

その理由の一つに数えられているのが、中尊寺金色堂の存在です。

建物の内外を金箔で覆ったこの建物が建立されてから、

今年2024年で、めでたくちょうど900年の月日が流れました。

それを記念して、現在、東京国立博物館の特別5室では、

“建立900年 特別展「中尊寺金色堂」”が開催されています。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは、

横幅およそ7メートルの超巨大なディスプレイ。

 

8KCG:©️NHK/東京国立博物館/文化財活用センター/中尊寺 8K:©️NHK

 

 

その大画面に映し出されているのは、

超高精細8KCGで再現された原寸大の金色堂です。

以前に、国宝ハンターとして一度、

岩泉の中尊寺を訪れたことがありますが。

実際の金色堂はガラスケースで覆われていたため、

目の前に実物があるというのに、手が届きそうで届かない、

そんなもどかしい気持ちになったのを覚えています。

対して、このディスプレイでの展示ですが、

実物でなく映像ですし、ましてやCGではあるものの、

現地で観た時よりも、没入感、臨場感があったような。

 

・・・と、冒頭からすっかり心を掴まれてしまいましたが、

本展の目玉となるのは、やはり国宝の《阿弥陀如来坐像》でしょう。

 

 

 

実は、金色堂には、西南壇、西北壇など全部で3つの須弥壇があります。

その中でもっとも重要なのが、中央壇。

そちらには、奥州藤原氏初代・藤原清衡が安置されていています。

今回、出展されているのは、その中央壇の《阿弥陀如来坐像》です。

なお、中尊寺の仏像が寺外で公開されるのは、今回が初めて!

 

 

 

現地ではここまで間近で観られないので、

当然、360度全方向から観られるわけでないので、

中尊寺の《阿弥陀如来坐像》をマジマジと観られる貴重な機会です。

もしかしたら、最初で最後かも。

 

しかも!

 

《阿弥陀如来坐像》の両脇を固める脇侍、

《観音菩薩立像》《勢至菩薩立像》も揃って公開されています。

 

 

 

さらに、三尊像の両脇に左右3体ずつ、

計6体安置されている《地蔵菩薩立像》も上京中。

 

 

 

《地蔵菩薩立像》は現地では縦に3体、

『Choo Choo TRAIN』スタイル(?)で並んでいるそうですが、

本展では、特別に3体横並びのフォーメーションで展示されています。

 

さらにさらに!

中央壇の下壇に配置されている二天像、

《増長天立像》と《持国天立像》も出展されていました。

 

 

 

なんと、中央壇の仏像全11体がコンプリートしています。

1体だけでも十分にありがたいのに、

まさか11体すべてを観ることができるとは!

嬉しい反面、中尊寺は特に今現在、

工事でお休みしているわけではないので、

気前よく貸出しすぎてしまったのでは?と、ちょっと心配になりました。

あと、護ってくれている仏像が全ていなくなってしまったので、

現地で眠る藤原清衡は大丈夫なのかと、ちょっと心配になりました。

星星

 

 

なお、展覧会は仏像以外にも、

国宝の《紺紙金銀字一切経》や、

 

 

 

これまた国宝の《金銅孔雀文磬》《金銅迦陵頻伽文華鬘》など、

 

 

 

見どころがたくさん。

本館5室の一室のみでの展覧会ゆえ、

出展数は約50点と、そう多くはないのですが、

そのうち48点が国宝、もしくは重要文化財に指定されています。

国宝・重要文化財の濃度で言えば、

トーハクの歴代の展覧会の中でも、10本の指に入るでしょう。

 

 

ちなみに。

展覧会の内容も充実していましたが、

展覧会のグッズも、かなりの充実ぶりでした。

 

 

 

個人的に一番印象に残っているのは、

二天像のうちの《持国天立像》にちなんだグッズ。

 

 

 

《持国天立像》本人(?)ではなく、

彼に踏まれ続けている邪鬼がぬいぐるみとなっていました。

 

 

 

絶妙な愛らしさ。

感情移入してしまい、踏める気がしません。

 

 

 ┃会期:2024年1月23日(火)~4月14日(日)

 ┃会場:東京国立博物館 本館 特別5室
 ┃https://chusonji2024.jp/

 

 

 

 

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