わたしのからだは心になる?展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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2023年8月30日。

無印良品 有楽町の跡地に、東京都の新たな施設が誕生しました。

 

 

 

その名も、SusHi Tech Squareです。

名前に「SusHi」とありますが、お寿司は関係ありません。

近年、東京都では「持続可能な新しい価値」を生み出す、

「Sustainable High City Tech Tokyo」を推進しているのだそう。

その「Sustainable High City」を略して、「SusHi」なのだとか。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

つい最近、韓国のアイドルグループが、

日本のことを「sushi land(寿司ランド)」と表現して、

差別用語だなんだと、一部のネットユーザーが批判していましたが。

東京都自らが、こんなネーミングを付けているわけですから、

海外の人が「sushi land」と言うのも当然であるような気がします。はい。

 

 

と、それはさておきまして。

こちらのSusHi Tech Squareは、

メディアアートとテクノロジーの体感拠点となっており、

1階フロアではメディアアート系の展覧会が開催されていくそうです。

その第1弾として開催されているのが、“わたしのからだは心になる?展”

「からだ」をテーマにした8組のクリエイターによる作品を紹介する展覧会です。

 

 

 

 

まず、展覧会を観た率直な感想としては、
“SusHi Tech Squareは、初台のICCみたいな施設だなぁ”ということ。

メディアアートの施設なので、当然といえば当然なのですが。

それと、ボランティアなのか、異常にスタッフさんが多かったです。

1作品に1人、あるいは2人。

作品を観ていると、スッと近づいてきてくださって、いろいろ説明してくれます。

もちろん説明して頂けるのはありがたいのですが。

1人で訪れる時は、できれば1人で観たいタイプなので、

スタッフさんが近づいてきそうになったら逃げる、を繰り返しました(笑)。

それゆえ、展覧会にはあまり集中できなかったです。

星

 

 

そんな中でも印象に残った作品をいくつかご紹介いたしましょう。

まずは、筧康明+赤塚大典+吉川義盛による《Air on Air <forest/sea/city>》から。

 

 

 

会場では、3つの映像が流れています。

この映像は録画でなく、リアルタイムのものなのだとか。

そして、その前にそれぞれ不思議な装置が置かれています。

 

 

 

この不思議な装置に、そっと息を吹きかけてみましょう。

 

 

 

すると・・・・・

 

 

 

映像内で、無数のシャボン玉が飛んでいきました。

こちらの作品は、自分が吹いた息がリアルタイムで、

情報として伝達され、シャボン玉が飛ぶ仕組みになっているそう。

思わず何度もシャボン玉を飛ばしてしまいました。

童心に戻れる作品です。

 

 

続いて紹介したいのは、神楽岡久美さん。

「美的身体のメタモルフォーゼ」という一貫したテーマで制作を続ける現代美術家です。

 

 

 

神楽岡さんが関心を寄せているのが、「美力(美的価値)」。

中国の纏足であったり、ヨーロッパの貴族のコルセットであったり。

歴史上、美力によって、人々の身体は影響されてきました。

それは現在も然り。

プリクラやアプリ上で、理想の顔になるべく、盛りに盛られています。

そんな古今東西の美力をリサーチしたうえで、

神楽岡さんが提案するのが、1000年先の「未来の美」。

展示されていたのは、その理想の美を得るための装置です。

 

 

 

 

1000年後にしてはアナログな気もしましたが。

逆に、1000年後はこういう感じなのかもしれません。

若干のディストピア感がありました。

 

 

アナログといえば、こんな作品も。

 

 

 

ソンヨンア+鳴海拓志+新山龍馬+勢井彩華による《Puff me up!》

風船のように膨らんでいるのは、未来の新しい形のロボットとのことです。

ロボット=金属。

と、なんとなく思い込んでいましたが、

確かに、金属でなくてはならないわけでありません。

目からウロコでした。

 

なお、この《Puff me up!》は、体のどこかに装着すると、

必要な時だけ空気で膨らんで現れるロボットなのだとか。

遠く離れた場所にいる家族や友人とも、会話ができるのだそう。

 

 

 

発想としてはとってもオモシロいですが、

実際にこれを身体につけてみたいかと言われれば・・・・・う~ん。

スマホでいいです。

 

 

最後に紹介したいのは、花形槙さんの《Uber Existence》

 

 

 

こちらは、「Uber」から着想を得たという作品で、

“そこにいること”自体を提供する“存在代行”サービスです。

例えば、利用者(ユーザー)が、「お祭りに行きたい」と注文をしたとします。

そしたら、存在代行者(アクター)は、帽子にカメラを付けてお祭りを訪れます。

アクターはユーザーの指示通りに動き、

ユーザーの指示通りに言葉を発しなくてはならないそう。

バラエティー番組のドッキリとかで、

無線を通じて、芸人が誰かを操るというのがありますが。

あれのリアル版といったところでしょうか。

会場には、実際にアクターを体験した人の感想も紹介されていました。

最初は戸惑っていたものの、だんだんとその状況を受け入れ、

いつしか自分の身体なのに、自分ではないような感覚に陥ったそう。

なんだか『世にも奇妙な物語』のエピソードにありそうな話でした。

 

 

 

 

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